[S08P-03] Spatial pattern on stress drops of small earthquakes in eastern Shizuoka prefecture and the Tanzawa region, Japan
1.研究背景・目的
静岡県東部は地震活動が活発な地域であり、近年では2009年・2011年の駿河湾地震(M6.5, M6.2)や2011年の静岡県東部地震(M6.4)などM6超の地震も複数発生している。また、伊豆半島東方沖や丹沢地域では過去に群発地震が観測されており(図1)、流体の影響が示唆されている(Morita et al., 2006;Yamada et al., 2015)。本研究では2003年6月から2022年12月に静岡県東部および丹沢地域で発生した3.5 ≦ M ≦ 5.4の地震を対象として応力降下量解析を行い、同地域の摩擦特性の空間不均質性を考察した。
2.研究手法
防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)で観測された速度波形を用い、Yamada et al. (2021)と同様の手法を採用して応力降下量の解析を行った。解析手法の詳細は以下のとおりである。まず、解析対象地震に近接する2.8 ≦ M ≦ 3.0の地震の観測波形を経験的グリーン関数(EGF)とし、解析地震波形およびEGF波形をフーリエ変換し、周波数領域に変換した。その後、解析対象地震のスペクトルをEGFのスペクトルで割り、解析対象地震とEGF波形の震源特性の比を抽出した。最後にBoatwright (1978)のオメガ2乗モデルを用いてコーナー周波数を推定し、円形断層モデル(Madariaga, 1976)を仮定して解析対象地震の応力降下量を算出した。
3.結果・考察
図2は本研究で得られた応力降下量の空間分布である。静岡県東部地震の震源周辺、2009年駿河湾地震の震源周辺および伊豆半島東方沖で応力降下量が小さい一方で、丹沢地域周辺や2011年駿河湾地震の震源周辺では応力降下量の値が大きいという空間不均質性が見られる。伊豆半島東方沖で応力降下量が小さいという結果は、地下の流体による断層面の有効法線応力の低下、すなわち剪断強度の低下により地震が発生していることを示唆しているのかもしれない。丹沢地域では2012年1月のクラスター活動後の応力降下量の値はほぼ安定しているのに対して、クラスター活動前に応力降下量の低下が見られた(図3)。また、クラスター活動中には応力降下量の値が低い地震が発生しており、Yamada et al. (2015)と同様の結果が得られた。駿河湾地域では2009年・2011年の震源域で応力降下量の差異が認められるが、明瞭な時間変化は認められず、また地震の発生する深さにも変化はなかった。今後は2009年・2011年の駿河湾地震のすべり分布を解析し、応力降下量の空間分布との関連について考察する予定である。
静岡県東部は地震活動が活発な地域であり、近年では2009年・2011年の駿河湾地震(M6.5, M6.2)や2011年の静岡県東部地震(M6.4)などM6超の地震も複数発生している。また、伊豆半島東方沖や丹沢地域では過去に群発地震が観測されており(図1)、流体の影響が示唆されている(Morita et al., 2006;Yamada et al., 2015)。本研究では2003年6月から2022年12月に静岡県東部および丹沢地域で発生した3.5 ≦ M ≦ 5.4の地震を対象として応力降下量解析を行い、同地域の摩擦特性の空間不均質性を考察した。
2.研究手法
防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)で観測された速度波形を用い、Yamada et al. (2021)と同様の手法を採用して応力降下量の解析を行った。解析手法の詳細は以下のとおりである。まず、解析対象地震に近接する2.8 ≦ M ≦ 3.0の地震の観測波形を経験的グリーン関数(EGF)とし、解析地震波形およびEGF波形をフーリエ変換し、周波数領域に変換した。その後、解析対象地震のスペクトルをEGFのスペクトルで割り、解析対象地震とEGF波形の震源特性の比を抽出した。最後にBoatwright (1978)のオメガ2乗モデルを用いてコーナー周波数を推定し、円形断層モデル(Madariaga, 1976)を仮定して解析対象地震の応力降下量を算出した。
3.結果・考察
図2は本研究で得られた応力降下量の空間分布である。静岡県東部地震の震源周辺、2009年駿河湾地震の震源周辺および伊豆半島東方沖で応力降下量が小さい一方で、丹沢地域周辺や2011年駿河湾地震の震源周辺では応力降下量の値が大きいという空間不均質性が見られる。伊豆半島東方沖で応力降下量が小さいという結果は、地下の流体による断層面の有効法線応力の低下、すなわち剪断強度の低下により地震が発生していることを示唆しているのかもしれない。丹沢地域では2012年1月のクラスター活動後の応力降下量の値はほぼ安定しているのに対して、クラスター活動前に応力降下量の低下が見られた(図3)。また、クラスター活動中には応力降下量の値が低い地震が発生しており、Yamada et al. (2015)と同様の結果が得られた。駿河湾地域では2009年・2011年の震源域で応力降下量の差異が認められるが、明瞭な時間変化は認められず、また地震の発生する深さにも変化はなかった。今後は2009年・2011年の駿河湾地震のすべり分布を解析し、応力降下量の空間分布との関連について考察する予定である。