[S08P-12] Rupture directivity of moderate-sized earthquakes estimated by dense observation
地震は断層が破壊されることによって発生するが,震源からどのように破壊が断層面上を広がっていくのかは地震の発生機構を知るうえで重要な問題である. 大地震の破壊伝播方向は, 震源過程解析の中の1つの情報として比較的古くから求められている. 近年, 稠密な地震観測によって, 大地震だけではなく日本列島内陸部の小・中規模地震についても破壊伝播方向を推定する試みがなされている. そこで, 本研究では熊本県内の中規模(M5)以下の地震に対して破壊伝播方向の推定をおこなう.
片方向への(ユニラテラルな)破壊伝播によって励起される場合を仮定し, 震源に対する様々な位置の地震観測点において震源スペクトルのコーナー周波数を推定した. その分布から破壊伝播方向の検出を試みる. 観測される地震動には断層上での破壊の影響以外に地中を伝わる際の影響等を含むため, 近傍で発生した小規模な地震を対象地震の経験的グリーン関数(EGF)とみなすことでこれを除去した. 対象とする地震は2021年から2023年に熊本県内で発生したM3-5から選択した. EGFとして使用する地震は対象地震から震源間距離 1km以内で発生し, 対象地震よりマグニチュードが1以上小さな地震とした. EGFによる震源スペクトルの抽出はスペクトルの比をとることで行われ, P波とS波に対して各観測点の震源スペクトルのコーナー周波数を求めた. また, 本研究では同じ地震のP波を対象として時間領域でのデコンボリューションを行い, 震源時間関数を推定し, その継続時間の方位による変動から破壊伝播方向を検出することも行った. コーナー周波数の分布を用いた推定と結果を比較する.
コーナー周波数から得られた破壊伝播方向の分布から, 熊本地震により広域応力場が強化された領域では強化量が小さい方向, 応力場が弱化した領域では弱化量が大きい方向となっており, 震源位置での応力が高い方から低い方へ破壊が伝播する傾向が得られた.
片方向への(ユニラテラルな)破壊伝播によって励起される場合を仮定し, 震源に対する様々な位置の地震観測点において震源スペクトルのコーナー周波数を推定した. その分布から破壊伝播方向の検出を試みる. 観測される地震動には断層上での破壊の影響以外に地中を伝わる際の影響等を含むため, 近傍で発生した小規模な地震を対象地震の経験的グリーン関数(EGF)とみなすことでこれを除去した. 対象とする地震は2021年から2023年に熊本県内で発生したM3-5から選択した. EGFとして使用する地震は対象地震から震源間距離 1km以内で発生し, 対象地震よりマグニチュードが1以上小さな地震とした. EGFによる震源スペクトルの抽出はスペクトルの比をとることで行われ, P波とS波に対して各観測点の震源スペクトルのコーナー周波数を求めた. また, 本研究では同じ地震のP波を対象として時間領域でのデコンボリューションを行い, 震源時間関数を推定し, その継続時間の方位による変動から破壊伝播方向を検出することも行った. コーナー周波数の分布を用いた推定と結果を比較する.
コーナー周波数から得られた破壊伝播方向の分布から, 熊本地震により広域応力場が強化された領域では強化量が小さい方向, 応力場が弱化した領域では弱化量が大きい方向となっており, 震源位置での応力が高い方から低い方へ破壊が伝播する傾向が得られた.