The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S09P-23] Updating the seismic activity model for background earthquakes in probabilistic seismic hazard assessment

*Nobuyuki MORIKAWA1, Jun'ichi MIYAKOSHI2, Hiroyuki FUJIWARA1 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. Ohsaki Research Institute, Inc.)

1. はじめに
 地震調査研究推進本部(地震本部)による全国地震動予測地図2020年版(地震調査委員会,2021)が公表されて3年以上が経過した。その後、地震本部から新たな長期評価(地震調査委員会,2022a、2022b、2024)が公表されている。また、気象庁による地震カタログも年々追加され続けている。本稿では、これらの状況を踏まえて、確率論的地震動ハザード評価における震源断層を予め特定しにくい地震について、全国地震動予測地図2020年版からのモデルの更新に関する検討状況を示す。

2. 地震本部から新たに公表された長期評価に基づくモデルの更新
 全国地震動予測地図の確率論的地震動予測地図における震源断層を予め特定しにくい地震のモデルでは、「地域区分する方法」と「地域区分しない方法」の両者が採用されているが、このうち、「地域区分する方法」の地域区分は、海溝型地震については海溝型地震の長期評価、陸側プレートの浅い地震については垣見(2003)に基づいて設定されている。
 海溝型地震については、「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」(地震調査委員会,2022b)が公表されたことを踏まえ、当該評価で示されている地域区分ならびに沈み込むフィリピン海プレート上面形状に修正することとする。また、南海トラフ域について、地震調査委員会(2013)において最大クラスの地震として日向灘の領域まで破壊が及ぶ地震が評価されたことから、震源断層を予め特定しにくい地震のモデルは日向灘の地震の長期評価の改定とあわせて更新する方針となっていた。そのため、南海トラフ域の地域区分及び沈み込むプレート形状モデルについても今回更新することとした。
 陸側プレートの浅い地震の地域区分については、「日本海南西部の海域活断層の長期評価」(地震調査委員会,2022a)を踏まえて、当該評価領域を包含するように拡張する。また、地震調査委員会(2022b)を踏まえて南海トラフ域および南西諸島の地域区分形状も修正する。なお、日本海側の海域活断層の長期評価(地震調査委員会,2024)の評価領域については現状の地域区分で包含できていることを確認している。

3. 気象庁地震カタログの追加
 震源断層を予め特定しにくい地震の発生頻度(確率)のモデル化には、1921年以前の地震については宇津カタログ(宇津,1982,1985)、1922年以後の地震については気象庁による地震カタログを用いている。全国地震動予測地図2020年版では、2017年末までの気象庁地震月報(カタログ編)が用いられているが、その後のデータの追加を反映する。具体的には2022年末までの気象庁による地震月報(カタログ編)を用いることとする。

4. その他のモデルの更新
 以上の更新によって地震カタログから抽出された地震以外の地震について震源分布を作図したところ、九州から南西諸島海溝にかけての深発地震、日本海やオホーツク海域、伊豆諸島から小笠原諸島の西方海域において深さ60km程度まで地震があることが確認された。そこで、海域における陸側プレートの浅い地震について、地震カタログから抽出する震源深さの下限値を可能な限り深くする。ただし、これは当該地域の地震発生層を深くすることを意図するものではないことに留意が必要である。また、日本海棟縁部については、「日本海地震・津波調査プロジェクト」(東京大学地震研究所・文部科学省研究開発局,2021)によって設定されている震源断層モデルを包含するように地域区分の拡張もあわせて行う。

謝辞:本検討は防災科学技術研究所の「自然災害のハザード・リスクに関する研究開発」として実施した。

参考文献:
地震調査委員会(2013):
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/nankai_2.pdf
地震調査委員会(2021): https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2020/
地震調査委員会(2022a):
https://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/offshore_active_faults/sw_sea_of_japan/
地震調査委員会(2022b):
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/hyuganada_2.pdf
地震調査委員会(2024):
https://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/offshore_active_faults/sea_of_japan/
垣見・他(2003):地震2,55,389-406.
東京大学地震研究所・文部科学省研究開発局(2021):
https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/Japan_Sea/JSR2Report/index.html
宇津徳治(1982):地震研究所彙報,57,401-463.
宇津徳治(1985):地震研究所彙報,65,639-642.