The 2024 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Oct. 21st)

Regular session » S12. Rock experiment, rock mechanics, and crustal stress

[S12P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S12P-06] Measurement of the frequency dependence of voltage response due to piezoelectric polarization in artificial quartz crystal samples

*Kazuya Ogawa1, Hironori Kawakata1 (1. Ritsumei University)

地震発生のメカニズムを理解するために、多くの室内岩石破壊実験の研究が今までに行われてきた。その中で、岩石破壊時に電磁波の放出(例えば Yoshida et al., 1997)や発光現象(例えば Mitsui and Yanagidani, 2012)が観測されている。これらの現象の原因の一つとして、岩石中の石英の圧電効果が指摘されている。これまでの研究においては岩石試料内に含まれる石英粒子を対象に考察が行われており、その素過程については実験的に調べられた例は少なくない。
そこで本研究では、石英の圧電分極の性質について調べるために、石英と同じ組成であり結晶形態が既知である人工水晶に荷重を与えることで、印加した荷重と分極によって生じた電圧の測定を行った。そして、印加荷重、それを時間微分した荷重変化(率)、電圧の関係を評価した。
本研究では、人工水晶試料を使用し、載荷・除荷速度が水晶の圧電分極に与える影響を比較するため、2つの異なる手法を用いた載荷実験を行った。1つ目の実験では、分極が卓越する圧電軸に直交する対面を電極とし、その面に接触させたインパクトハンマーを別のハンマーで叩くことで高速載荷・除荷を行った。2つ目の実験では、1つ目の実験と同じ対面に対して一軸圧縮試験装置を用いてゆっくりと載荷していき、一定の荷重に到達後、その状態をしばらく保持した後に除荷した。どちらの実験においても、水晶に与えた荷重と電極間の電圧の測定を行った。

測定した結果、どちらの載荷実験でも荷重変化(率)と電圧は高い相関を示すことが明らかとなった。そして、それらの位相差スペクトルを求めた結果、1つ目の実験では、約1000 Hzから約2500 Hzの周波数帯において、電圧は入力した荷重変化(率)に対して約80マイクロ秒の遅れで高い相関を持つことが示された。約2500 Hzから約6000 Hzまでは信号レベルは十分だが位相差が周波数に対して線形ではなく、遅延時間は周波数に依存していた。なお、1000 Hz以下の帯域では、電圧の信号レベルの不足により信号の位相差を得ることができなかった。また2つ目の実験では、除荷時において20 Hz以下の周波数帯で十分なS/N比を持ち、この帯域では電圧は荷重変化(率)と高い相関があることが示された。ただし、低周波数帯であることもあり(80マイクロ秒は20 Hzでは0.01ラジアンに相当)、有意な位相差は得られなかった。なお、本研究では測定回路が閉じていた状態で水晶に荷重変化を与える設計としていたため、回路内の抵抗等の影響で回路に依存した充電および放電プロセスが発生し、それが遅延の違いに影響した可能性がある。