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[S14-05] Can the preseismic D-region electron density increase reported by the DEMETER satellite be regarded as a seismic precursor?
地球電磁気現象の地震先行現象研究のなかで最も事例数が多く、最もロバストな統計的評価がなされているものは、2004年~2010年に運用されたDEMETER衛星によって検知されたVLF電場強度減少現象である(Nemec et al., GRL, 2008; Nemec et al., JGR, 2009; Pisa et al., JGR, 2013)。先行研究によれば地震に先行する夜間VLF帯電場強度減少現象がM≧4.8の地震、震央距離が500 km以内、地震発生前4時間前に発生すると言われている。また、この現象はD領域の電子密度上昇によって引き起こされているとみられ、岩石圏―大気圏―電離圏結合(LAI coupling)の観点から(Kamogawa, Eos, 2005)発生機構が提案されている(Harrison et al., JASTP, 2010)。本研究では、この現象の真偽を明確にするために、再評価を行った。まず、先行研究で指摘される問題点であった統計的ゆらぎの起因による見かけの強度減少でないことを、解析手法の修正により示した。次に、人工的な地震カタログを用いて、この強度減少の発生頻度を調べたところ4σのレベルとなる極稀な強度減少現象であることが示した。さらに、衛星直下の活発な雷活動においてもD領域電子密度上昇起因の類似した強度減少が見られるが、ワシントン大のWWLLN落雷カタログを用いて、この先行的な現象が見られるときの雷活動を調べたところ特に活発な雷活動との相関は見られなかった。したがって、雷活動起因による強度減少ではないことがわかった。以上の解析を踏まえて、本追解析では、地震先行現象を否定する結果は得られず、今後、本先行現象の真偽を探る研究を推進する必要性が明確になった。また本発表では、DEMETER衛星の事実上の後続衛星であり現在DEMETER運用期間と同じ6年間の運用がなされている中国CSES衛星で得られた成果との比較を行う。