日本地震学会2024年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S15. 強震動・地震災害

[S15P] PM-P

2024年10月22日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (2階メインホール)

[S15P-01] 南海トラフ巨大地震を対象とした地震防災基盤シミュレータの開発

*中村 洋光1、前田 宜浩1、土肥 裕史1、内藤 昌平1、石丸 晴海2、時実 良典3、藤原 広行1 (1. 防災科学技術研究所 マルチハザードリスク評価研究部門、2. 三菱電機ソフトウエア株式会社、3. 応用地質株式会社)

将来の発生が確実視されている国難級の南海トラフ地震に備えるため、科学的・定量的なデータに基づき、「通常と異なる現象」の把握とその推移予測を、迅速かつ精度よく評価することを目指した評価・情報発信手法の開発や、発信された情報を被害軽減に最大活用するため、「通常と異なる現象」が観測された場合、住民や地域、企業等の防災対策のあり方や、防災対応を実行する方策について研究を実施する「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」が進められている(小平・他;JpGU2021年大会)。
本研究では、前述の研究プロジェクトにおける将来を予測する基盤的情報として、「通常と異なる現象」発生後の時間推移についてもその地震発生の時空間的な多様性の一例として取り込み、地震や津波のハザードやそれによって引き起こされるリスク情報を提供可能とするシステムとして開発を進めている地震防災基盤シミュレータについて述べる。
具体的には、多様性のある南海トラフ沿いで発生する地震のうち、過去に発生事例があり、南海トラフ地震臨時情報や防災対応ガイドラインが策定されている、例えば紀伊半島沖を境界とする東西2つの震源域が時間差を伴って破壊するいわゆる「半割れ」ケースを取り上げ、防災対応ガイドライン等を踏まえた事前避難等による人口分布の変動も考慮した半割れケースの強震動および、津波による建物や人的被害リスクの評価結果を含むシステムでの可視化および、情報提供機能について紹介する。また、防災対策のための詳細な災害シナリオや災害対応の検討の出発点となるような基礎的な情報提供を目的として、多数の地震発生のモデル群による被害の様相を示す特徴量に基づいて機械学習により類型化を行い、その類型ごとに抽出した代表地震を用いて試作した簡便な災害シナリオについて紹介する。
謝辞:本研究は文部科学省「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」の一環として行われた。