[S16P-08] Validation of the autocorrelation analysis for site amplification factors using the spectral inversion data in Okayama Prefecture
スペクトル・インバージョン法を用いて, 強震記録のフーリエスペクトルから, 震源特性, 伝播経路特性, サイト増幅特性の3つの要素を分離する研究が行われてきた(例えば, 川瀬・松尾(2004)). このうち, サイト増幅特性は, 地震基盤から地表までの地盤に入射した地震波の周波数依存の増幅率であり, その振幅スペクトルを用いて, 地盤構造の推定が行われている. また, 近年, 強震記録のパワースペクトルにホワイトニング処理を施して地盤構造の情報を抽出する自己相関解析も盛んに行われている(例えば, Chimoto & Yamanaka (2019)). 自己相関関数は, 地表を震源とする疑似の反射プロファイルと解釈でき(例えば, Claerbout (1968)), 観測点直下の速度コントラストの大きな反射面の情報を得ることができる. 竹中・渡邉・南方(本大会)は, サイト増幅特性に自己相関解析を適用して疑似の反射プロファイルを得る方法を提案している. 本研究では, 岡山県の稠密強震観測点でスペクトル・インバージョンによって得られたサイト増幅特性を用いて, この自己相関解析法が, サイト増幅特性に適用可能であることを検証する.
サイト増幅特性は金島・他(2024, JpGU)によって岡山県下121観測点で実施された, 帯域0.1~20 Hzのスペクトル・インバージョンから得られた結果を使用する. 岡山県は, 南部は沖積低地である岡山平野と小丘陵からなる一方, 中部や北部は, 吉備山地や中国山地からなり, 多くの地域で地盤が薄い. しかし, 児島湖周辺は干拓による軟弱地盤が広がり, 重力探査や深層ボーリング調査等の結果から, この地域の地盤が比較的厚いことが示唆されている.
図1は, 児島湖周辺を南北に横切る測線(図1aのA-A’)から, 5 km圏内の強震観測点におけるサイト増幅特性から計算した自己相関関数(図1b)である. 自己相関関数の最初の負のシグナルはすべての観測点において時間軸の0秒から0.5秒の間に位置し, そのピークは測線に沿ってアーチ状に分布している. これは児島湖付近の浅部の地盤が厚いことを示している. 鈴木(2004)の地質学的な岡山平野の断面図と比較すると, この一連の負のシグナルは沖積層と洪積層の境界に対応している.
謝辞: 防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net, 気象庁, 岡山県震度情報ネットワークシステム及び岡山理科大学の強震観測点で得られた強震動波形記録を使用しました.
サイト増幅特性は金島・他(2024, JpGU)によって岡山県下121観測点で実施された, 帯域0.1~20 Hzのスペクトル・インバージョンから得られた結果を使用する. 岡山県は, 南部は沖積低地である岡山平野と小丘陵からなる一方, 中部や北部は, 吉備山地や中国山地からなり, 多くの地域で地盤が薄い. しかし, 児島湖周辺は干拓による軟弱地盤が広がり, 重力探査や深層ボーリング調査等の結果から, この地域の地盤が比較的厚いことが示唆されている.
図1は, 児島湖周辺を南北に横切る測線(図1aのA-A’)から, 5 km圏内の強震観測点におけるサイト増幅特性から計算した自己相関関数(図1b)である. 自己相関関数の最初の負のシグナルはすべての観測点において時間軸の0秒から0.5秒の間に位置し, そのピークは測線に沿ってアーチ状に分布している. これは児島湖付近の浅部の地盤が厚いことを示している. 鈴木(2004)の地質学的な岡山平野の断面図と比較すると, この一連の負のシグナルは沖積層と洪積層の境界に対応している.
謝辞: 防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net, 気象庁, 岡山県震度情報ネットワークシステム及び岡山理科大学の強震観測点で得られた強震動波形記録を使用しました.