日本地震学会2024年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S17. 津波

[S17P] PM-P

2024年10月22日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (2階メインホール)

[S17P-01] 気圧波および地球の弾性変形と波数分散性を考慮した2022年トンガ噴火に伴う津波のシミュレーション

*三村 達矢1、馬場 俊孝1、水谷 歩2 (1. 徳島大学大学院、2. 東北大学)

2022年1月15日にトンガ王国のフンガトンガ・フンガハアパイ火山が噴火し、ラム波や大気重力波に伴う大気圧力変動が観測された。火山噴火に伴う大規模な気圧変動は1883年のクラカタウ火山の噴火以来のものであった。また、大気の圧力変動によって津波が発生し、世界中で観測された。Mizutani and Yomagida (2023)はラム波および大気重力波をノーマルモード理論により計算し、津波計算部分には長波理論を用いて、日本周辺の海底水圧計データと比較した。本研究では、Mizutani and Yomagida (2023)の方法を踏襲するものの、津波の計算部分には地球の弾性変形を考慮した分散波理論を用いて、より高精度な予測を試みた。計算はオープンソースの津波計算コードJAGURSを改造して行った。地形データにはGEBCOおよびGtTMを、比較のためのデータには日本の検潮記録と北米やチリ、オーストラリアなどの太平洋のDART記録を利用した。ラム波のみを用いた計算、大気重力波の高次モードを考慮したもの、地球の弾性変形を考慮したもの、分散効果を導入したものをそれぞれ線形長波式、非線形長波式を用いて計算した。線形、非線形でのほとんど変化は見られなかった。ラム波のみの計算とラム波と大気重力波の高次モードを含めた計算では後者の方が振幅が大きくなり観測値と同等の振幅となった。これに地球の弾性変形の効果を加えると、地域性によって異なるものの、津波の第一波が到着してから約2から4時間立つと位相が30分ほど遅れた。さらに、分散効果を代入すると波長の短い成分が消えて波形がなめらかになり、観測波形に近づいた。以上の結果から、大気ラム波に大気重力波の高次モードを含め、地球の弾性変形や分散を考慮することで計算値の向上が確認された。