[S17P-05] Variations in Probabilistic Tsunami Hazard Curves Due to Differences in Tsunami Source Fault Model Groups
地震や津波は自然現象であり不確実性が大きい.このため津波防御施設である海岸構造物の設計などには確率的な評価を利用することが好ましい.しかし,津波の確率論的評価として提示されるハザードカーブなどは断層モデル群をはじめとする採用モデルに依存する.一概にどのモデルが優位とは言えないため,採用したモデルによる評価結果の違いとその原因ついて定量的に把握しておく必要がある.我々は,南海トラフにおいて地震調査研究推進本部が提示する不均質断層すべりを考慮した波源断層モデル群から非線形長波式で津波計算を行い,それにグーデンベルグ・リヒター則に基づいて発生確率を与え,任意地点の津波の超過確率を津波ハザードカーブとして評価してきた.ここでは、不均質断層すべりを除去した均質すべりモデル群,別の手法(ランダムフェーズモデル)で作成された不均質すべりモデル群でもこれまでと同じ手法で津波ハザードカーブを評価し,波源断層モデルの作り方の違いによる確率津波ハザードの評価結果の違いについて議論する.均質断層すべり群から構築した津波ハザードカーブは不均質断層すべりを考慮した波源モデル群のそれよりも明らかに小さかった.これは不均質すべりを考慮しないことによって津波高さが低いシナリオの割合が大きくなったからと考えられる.また,地震調査研究推進本部が提示する不均質断層すべり群とランダムフェーズによる不均質断層すべり群の比較でも有意な違いが見られた.これはランダムフェーズモデル群では最大すべり量が大きく,アスペリティが陸に面したシナリオが存在し,海岸での津波高さがより高いシナリオが地震調査研究推進本部の波源断層モデル群よりも多く含まれているためと考えられる.このように波源断層モデルの作成方法に津波ハザードカーブは敏感であるため,津波の確率評価においては適切に構築された波源断層モデル群を利用する必要がある.