The 2024 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Oct. 22nd)

Regular session » S17. Tsunami

[S17P] PM-P

Tue. Oct 22, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S17P-08] Estimation of a non-seismic tsunami source associated with the 2020 Alaska Sand Point earthquake

*Akino Naitoh1, Toshitaka Baba1 (1. Tokushima Univ.)

アリューシャン海溝では,太平洋プレートが北米プレートの下に毎年約8センチ沈み込んでいるため地震活動が活発である.過去に1938年M7.8,1946年M8.6,1964年M9.2,1986年M8.0と大規模地震がアリューシャン海溝で発生した.いくつかの地震では,地震性津波だけでなく海底地すべりによって津波が励起している.このことから,アリューシャン海溝での地震は,非地震イベントの併発を注意する必要がある.2020年10月19日にアラスカ半島沖のアリューシャン海溝でM7.6の地震(2020年アラスカサンドポイント地震)が発生し,それに伴って津波が発生した.この津波は複数のDART観測によって記録された.地震波とGPS観測データのインバージョン解析によって推定された断層モデルに基づいて計算された津波は,DARTで観測された津波波形をまったく再現できなかった.そこで本研究では,2020年アラスカサンドポイント地震に伴う非地震性津波の波源推定を試みた.断層モデルによって計算した津波波形を観測津波波形から除去することで,非地震成分の津波波形を抽出した.抽出した非地震性津波波形に対して津波インバージョン解析を実施し,初期海面変動を推定した.推定された初期海面変動は,地震の発生と同時に非地震性津波が発生したと仮定すると,隆起と沈降が入り混じった複雑なパターンとなり現実的ではなかった.そこで,非地震性津波は地震よりも遅れて発生したと仮定した.地震発生6分後に非地震性津波が発生したケースで,陸側に沈降,海溝側に隆起という双極的な隆起沈降パターンとなった.この双極的な変動パターンは,スロースリップまたは海底地すべりによる津波で説明できると思われた.しかしながら,スロースリップでは地殻変動が発生するためGPSによる観測データと矛盾する.このため,非地震性津波は海底地すべりによる津波の可能性が高い.津波インバージョン解析によって得られた初期海面変動を説明するには,厚さ約500m、長さ約60km、幅約8.0kmの大規模な海底地すべりが必要である.2020年アラスカサンドポイント地震に伴った津波は,断層運動と海底地すべりという複数の要因によって励起されたと考えられる.