[S23P-02] 2024年8月8日日向灘を震源とする地震時に大阪平野で観測された顕著な波群の特性
2024年8月8日16時43分頃に発生した日向灘を震源とする地震(Mj7.1;以下,対象地震とする)では,関西地域に展開されている関西地震観測研究協議会(関震協)の全観測点で地震動が捉えられ,大阪平野内を中心に多くの観測点で震度1相当の揺れが観測された。観測された速度波形より,大阪平野内では,これまでに観測された多くの地震動と同様,比較的大きい振幅の揺れが長時間継続したことが確認された。大阪平野内に設置されているAMA(尼崎)観測点では,S波初動が到達してから約3分後に東西成分で顕著な波群が現れ,関震協の全観測点の中で最大となる約0.8 cm/sの揺れが観測された。同観測点に近接するFKS(福島)観測点でも,成分は異なるが,南北成分でほぼ同じ時刻に比較的大きな波群が現れた。なお,2019年5月10日8時48分頃に,対象地震の震央から東に約25 km離れたやや浅い場所で,対象地震より規模がやや小さいMj6.3の地震が発生しているが,この地震により観測された速度波形には上述した波群は確認できなかった。疑似速度応答スペクトルにおける各観測点の卓越周期特性に着目すると,上述したAMA観測点とFKS観測点では,前者は東西成分が,後者は南北成分が,6~7秒付近で卓越したことが確認された。非定常スペクトル特性より,疑似速度応答スペクトルにおける卓越は,上述した顕著な波群に対応することが明らかとなった。この周期帯は,両観測点の地震計が設置されている地盤におけるLove波の卓越周期に対応する(宮腰・堀家,2006)。 4~10秒でバンド・パス・フィルター処理を施した観測速度記録の粒子軌跡より,AMA観測点とFKS観測点では,当該波群が出現し始める時刻の約1分前から,それまでの傾向とは異なり,西北西-東南東方向に揺れ始めていることが確認された。周辺観測点の粒子軌跡では、この波動は確認できなかった。比較的長い周期の揺れでAMA観測点とFKS観測点が長時間震動したことが当該波群の生成に繋がった可能性もあるが、成因については詳細な検討が必要である。
謝辞:本検討では関西地震観測研究協議会による強震観測記録を使用させていただきました。関係各位に感謝申し上げます。
謝辞:本検討では関西地震観測研究協議会による強震観測記録を使用させていただきました。関係各位に感謝申し上げます。