The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Late-Breaking Session » S23. The 2024 Hyuga-nada Earthquake and its Effects

[S23P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S23P-12] T-wave propagation associated with the Hyuga-nada Earthquake

*Ryoichi IWASE1 (1. JAMSTEC)

2024年8月8日に発生した日向灘の地震では、海底地震観測網である気象庁の東南海ケーブル式常時海底地震観測システム、紀伊半島から室戸岬の沖合にかけて設置されている防災科学技術研究所のDONET及び日本海溝沿いに設置されている同S-netの房総沖周辺の観測点において、深海サウンドチャネル(SOFAR)を伝搬したT波が観測されている。これに加え、伊豆・小笠原諸島及び南西諸島の陸上に設置された気象庁の一部の地震計でもT波が観測されている。
今回のような規模の地震以外では、通常、T波の信号レベルは陸上の地震計で観測されるほど大きくないが、陸上の観測点で極めて顕著なT波が観測された事例として、2023年10月9日早朝に発生した鳥島近海の地震が記憶に新しい。この時に各観測点において検出されたT波の到達時間差を比較すると、日本海溝沿いに設置されたS-netに比べ、DONETや南西諸島の陸上観測点におけるT波の遅延が大きい。加えて特に南西諸島の観測点ではそのばらつきも大きい。
一方、今回の日向灘の地震に伴って観測されたT波は、鳥島近海の地震に伴うT波に比べて、デュレーションが大きい点に注意する必要があるが、ばらつきが小さいものの、気象庁の伊豆・小笠原諸島の観測点では到達時間が早い傾向がみられる。この2つの事例の対比から、日本の南岸沖海域におけるT波の伝搬は、西向きの伝搬に際して遅延が大きく、東向きの伝搬に際しては逆に早まることが推察される。その要因として黒潮の影響が考えられる。
この2つの事例では伝搬経路が同一ではないことに注意するも必要があるため、他の地震に伴うT波の観測事例の調査も含め、今後詳細に検討する。

謝辞
本研究の実施に際し防災科学技術研究所の公開データ(https://doi.org/10.17598/NIED.0007、https://doi.org/10.17598/NIED.0008、気象庁観測データ)を利用しました。伝搬距離の計算には国土地理院のサイト(https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/surveycalc/bl2stf.html)を利用しました。