[PF073] マルチメディア絵本の作成について
キーワード:マルチメディア絵本
1.はじめに
近年,ICTが普及し,ゲーム感覚で楽しみながら学習することのできるエデュテイメントソフトが発売されてきている.そのソフトの多くは,PCで学習を支援する教育用ソフトをベースに画像や音声が多用され,双方向性が強められている[1].また,2004年に任天堂より発売された携帯型ゲーム機ニンテンドーDSは,単なるゲーム機であるにとどまらず,多くのエデュテイメントソフトも発売されている.そういう状況の下,エデュテイメントソフトの一種として,「マルチメディア絵本」が見られるようになった.この絵本は市販されているものが多くあるが,我々でも容易に作成することが出来る.本研究では,新しい形式のマルチメディア絵本を教材として導入,活用していくための可能性を探ることを目的とし,マルチメディア絵本の作成に取り組んだ.
2.マルチメディア絵本とは
本稿では「マルチメディア絵本」と呼んでいるが,この名称の他にも,「オンライン絵本」や「インターネット絵本」,「デジタル絵本」など様々な名称が存在する[1].マルチメディア絵本は,パソコンで使われることのある「PowerPoint」や「Flash」で表示され,従来の紙の絵本とは違い,動きや音声が加わった絵本ということができる.操作している人によるマウスのクリックやボタンによって読み進めることができ,読む人それぞれのペースに合わせて,じっくりと読むことも可能である.また,子どもたちが興味を持った絵をクリックすると,音声が流れるという設定をすることができるため,何通りもの読み方をすることができる.
3.作成方法
マルチメディア絵本を作成するには,スライドショーやプレゼンテーション,アルバムなどを作るための各種ソフトを使用することができる.また,その他にもマルチメディア絵本作成用のソフトもある.絵本を作成するにあたり,作者が作りやすく,かつ,読者が使いやすく見やすいソフトが必要になってくる.今回は,絵を描くために「Pixia」というフリーソフトをダウンロードし,それを利用して描いた絵をPowerPointに貼っていく方法で絵本を作成することにした[2].
具体的な作成方法は,以下の通りである.
① 子どもたちに伝えたいことを決める.
② 絵やお話を含めて,どのような内容にするかを考える.
③ PowerPointのスライドを用意しておく.
④ Pixiaで絵を描く.
⑤ Pixiaで描いた絵をPowerPointのスライドに貼り付ける.
⑥ テキストボックスを使用し,文章を書いていく.
⑦ 文字や絵にアニメーションを付ける.
⑧ マイクで音声を録音し,挿入する.
⑨ ③から⑧までを繰り返して,完成.
4.実際に作成したマルチメディア絵本
題名: おかあさんとおかいもの
ねらい1:散歩や買い物など,普段の生活で子どもの身近にある行動や活動に興味を持ってもらう.
ねらい2:幼児期の死因の第1位は日常生活の思いがけない子どもの行動や保護者の不注意などから起きてしまう不慮の事故であるため,保護者と子どもが一緒に見て,普段の行動に気を付けてもらう.
5.評価
保育学を専攻する大学生3,4年生10名に,作成したマルチメディア絵本を見てもらい,それに対する評価を行ってもらった.無記名の質問紙によるアンケートである.「全体的な出来栄えはいかがでしたか」という設問に対し,「非常に良い」7名,「まあまあ良い」3名の回答があった.「絵本の文字と音声が同時に出てくるようになっていたら,時間差がなくて,もう少し読みやすかったと思う」や「子ども目線でわかりやすくて良い」,「絵に動きがあるともっと良い」という意見があった.
6.まとめ
マルチメディア絵本の作成を行った.今後は,絵本を子どもたちに見てもらい,子どもたちの意見を生かし,より良い絵本の作成を目指したいと思っている.
[参考文献]
[1] IT用語辞典バイナリ<http://www.sophia-it.com/>
[2] 村上優: 保育の創造を支援するコンピュータ,保育出版社,2006
近年,ICTが普及し,ゲーム感覚で楽しみながら学習することのできるエデュテイメントソフトが発売されてきている.そのソフトの多くは,PCで学習を支援する教育用ソフトをベースに画像や音声が多用され,双方向性が強められている[1].また,2004年に任天堂より発売された携帯型ゲーム機ニンテンドーDSは,単なるゲーム機であるにとどまらず,多くのエデュテイメントソフトも発売されている.そういう状況の下,エデュテイメントソフトの一種として,「マルチメディア絵本」が見られるようになった.この絵本は市販されているものが多くあるが,我々でも容易に作成することが出来る.本研究では,新しい形式のマルチメディア絵本を教材として導入,活用していくための可能性を探ることを目的とし,マルチメディア絵本の作成に取り組んだ.
2.マルチメディア絵本とは
本稿では「マルチメディア絵本」と呼んでいるが,この名称の他にも,「オンライン絵本」や「インターネット絵本」,「デジタル絵本」など様々な名称が存在する[1].マルチメディア絵本は,パソコンで使われることのある「PowerPoint」や「Flash」で表示され,従来の紙の絵本とは違い,動きや音声が加わった絵本ということができる.操作している人によるマウスのクリックやボタンによって読み進めることができ,読む人それぞれのペースに合わせて,じっくりと読むことも可能である.また,子どもたちが興味を持った絵をクリックすると,音声が流れるという設定をすることができるため,何通りもの読み方をすることができる.
3.作成方法
マルチメディア絵本を作成するには,スライドショーやプレゼンテーション,アルバムなどを作るための各種ソフトを使用することができる.また,その他にもマルチメディア絵本作成用のソフトもある.絵本を作成するにあたり,作者が作りやすく,かつ,読者が使いやすく見やすいソフトが必要になってくる.今回は,絵を描くために「Pixia」というフリーソフトをダウンロードし,それを利用して描いた絵をPowerPointに貼っていく方法で絵本を作成することにした[2].
具体的な作成方法は,以下の通りである.
① 子どもたちに伝えたいことを決める.
② 絵やお話を含めて,どのような内容にするかを考える.
③ PowerPointのスライドを用意しておく.
④ Pixiaで絵を描く.
⑤ Pixiaで描いた絵をPowerPointのスライドに貼り付ける.
⑥ テキストボックスを使用し,文章を書いていく.
⑦ 文字や絵にアニメーションを付ける.
⑧ マイクで音声を録音し,挿入する.
⑨ ③から⑧までを繰り返して,完成.
4.実際に作成したマルチメディア絵本
題名: おかあさんとおかいもの
ねらい1:散歩や買い物など,普段の生活で子どもの身近にある行動や活動に興味を持ってもらう.
ねらい2:幼児期の死因の第1位は日常生活の思いがけない子どもの行動や保護者の不注意などから起きてしまう不慮の事故であるため,保護者と子どもが一緒に見て,普段の行動に気を付けてもらう.
5.評価
保育学を専攻する大学生3,4年生10名に,作成したマルチメディア絵本を見てもらい,それに対する評価を行ってもらった.無記名の質問紙によるアンケートである.「全体的な出来栄えはいかがでしたか」という設問に対し,「非常に良い」7名,「まあまあ良い」3名の回答があった.「絵本の文字と音声が同時に出てくるようになっていたら,時間差がなくて,もう少し読みやすかったと思う」や「子ども目線でわかりやすくて良い」,「絵に動きがあるともっと良い」という意見があった.
6.まとめ
マルチメディア絵本の作成を行った.今後は,絵本を子どもたちに見てもらい,子どもたちの意見を生かし,より良い絵本の作成を目指したいと思っている.
[参考文献]
[1] IT用語辞典バイナリ<http://www.sophia-it.com/>
[2] 村上優: 保育の創造を支援するコンピュータ,保育出版社,2006