日本地質学会第129年学術大会

シンポ・セッション紹介


 

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招待講演者の紹介(学会HPへ)

◆ シンポジウム    
S1.関東の地質 S2.人新世における地質学  
◆ トピックセッション    
T1.変成岩テクトニクス T2.西南日本弧成立 T3.南大洋・南極氷床
T4.地球史 T5.グローカル層序学 T6.日本列島の起源
T7.マグマ T8.文化地質学 T9.石油天然ガス石炭
T10.鉱物資源 T11.堆積地質学 T12.火山現象と防災
T13.都市地質学 T14.ジオパーク  
◆ ジェネラルセッション    

*タイトル(和英),世話人氏名・所属,概要を示します.*印は代表世話人(連絡責任者)です.


シンポジウム

S1.関東の地質:露頭から大深度地下まで

Geology of the Kanto Plain ーFrom outcrops to deep underground
世話人:高木秀雄*(早稲田大;hideo@waseda.jp),向山 栄(国際航業(株)),笠間友博(箱根ジオパーク推進協議会),加藤 潔(駒澤大学)
Convener: Hideo Takagi (Waseda Univ.),Sakae Mukoyama(KOKUSAI KOGYO Co.),Tomohiro Kasama(Hakone Geopark Promotion Council),Kiyoshi Kato (Komazawa Univ.)
関東平野はプレート三重会合点の影響を受けた特異な前弧海盆に形成された日本最大の平野である.時間的空間的に様々の視点から,その形成過程や地質分布などの特徴を議論し,全体像を把握することを目的とする.
講演予定:
  • 安藤寿男(茨城大学):白亜紀古日本陸弧−海溝系の連続性と前弧堆積盆の地質分布からみた関東地域の位置付け
  • 高木秀雄(早稲田大学):関東平野の地下における中央構造線の延長
  • 高橋雅紀(産総研):日本列島の第四紀東西圧縮の原因と房総前弧海盆の急激な隆起テクトニクス
  • 鈴木毅彦(東京都立大学):上総層群とテフラからみた関東における海域から陸域への地形変化過程
  • 田村糸子(中央大学):南関東における上総層群下部の指標テフラとその意義-2.5Maのざくろ石テフラを中心に-
  • 佐藤比呂志(東大地震研)・阿部 進・松原 誠・蔵下英司・石山達也:関東地域の地殻・マントル構造の特徴
  • 中山俊雄(東京都土木技術支援・人材育成センター):東京の地盤と応用地質的課題


S2.人新世における地質学:年代境界・物質境界研究のフロンティア

Geology in the Anthropocene: Frontiers in boundary studies on age and material
世話人:川幡穂高*(東京大 大気海洋研;kawahata@aori.u-tokyo.ac.jp),磯﨑行雄(東京大学)
Convener: Hodaka KAWAHATA* (Univ. of Tokyo),Yukio ISOZAKI(Univ. of Tokyo)
地質学は,地球を構成する岩石などの固体物質の性質解明や誕生以来現在までの地球が変遷史を研究する分野を含む.対象となる自然(岩石圏や生物圏)は極めて複雑な物質や内部構造を持つが,異なる事象の間の「境界」の把握が複雑な現象の理解の端緒となることが多い.地質学は物質境界(岩石・鉱物の接触面,不整合,断層etc.),時間境界(地質年代・化石帯境界etc.),さらに抽象概念としての境界(相転移・物性境界,生物地理区境界etc.)など多様な境界の認定とその意味を考察してきた学問分野である.一方,現代において気候変動の重要性は世界共通認識となり(2015年「パリ協定」など),特に人工物の総重量が地球生物の総量を凌駕した「人新世」はどのような境界で定義されるのだろうか.私たち地質学者はどう考え,行動すべきなのかという研究方向性を見出すために,「境界とは何か?」という古典的だが,極めて本質的な問題に注目し,現代的視点から次世代研究の方向性を探る契機とすべく中堅・若手中心のキックオフ・シンポジウムを企画する.主に1)地質学的視点から見た現代の位置付け,2)地質学における「境界」問題再考,3)人新世の地質年代単元として妥当性,4)現代・将来社会への地質学の貢献の4点について議論する.

講演予定:
  • Part 1: 年代境界のフロンティア 川幡穂高(東京大),西 弘嗣(福井県立大),黒柳あずみ(東北大),尾上哲治(九州大),斎藤誠史(東京大)
  • Part 2: 物質境界研究のフロンティア 磯﨑行雄(東京大),片山郁夫(広島大),辻森 樹(東北大),澤木祐介(東京大),宇野正起(東北大)
  • Part 3: さて,人新世で地質学者は何を考える? 齋藤文紀(島根大),岡田 誠(茨城大),安原盛明(香港大),後藤和久(東京大),益田晴恵(大阪公大),川幡穂高(東京大),磯﨑行雄(東京大)

トピックセッション:14件

T1.変成岩とテクトニクス

Metamorphic rocks and tectonics
世話人: 足立達朗*(九州大;t-adachi@scs.kyushu-u.ac.jp)・田口知樹(早稲田大)・大柳良介(国士舘大)
Convener: Tatsuro Adadhi*(Kyushu Univ.)・Tomoki Taguchi(Waseda Univ.)・Ryosuke Oyanagi(Kokushikan Univ.)
本トピックセッションは,2021年大会までレギュラーセッションとして開催されてきた同名のセッションを継続さらに発展させる形で,国内外を問わず世界各地の変成岩・変形岩とテクトニクスに関連する幅広い研究成果を募集する.野外調査・岩石組織の記載・各種機器分析を基本とする岩石学的および構造地質学的研究のみならず,岩石変形実験や理論モデリングに基づく地殻・マントルのレオロジーや変成反応・変形・破壊の物理化学的素過程など,様々な地球科学的手法・規模の視点に立った話題を取り上げる.マイクロ・ナノスケールから大規模テクトニクススケールまで広く対象とすることで,衝突帯や沈み込み帯で起こる変成・変形作用の包括的理解に迫る.
提案母体:岩石部会
招待講演予定者:なし.

T2.新生界地質から読み解く西南日本弧の成立—付加体形成から背弧拡大まで

Cenozoic SW Japan arc: from forearc accretion to backarc rifting
世話人: 羽地俊樹*(産総研;t-haji@aist.gojp)・新正裕尚(東京経済大)・藤内智士(高知大)
Convener: Toshiki Haji*(GSJ/AIST)・Hironao Shinjoe (Tokyo Keizai Univ.)・Satoshi Tonai(Kochi Univ.)
西南日本弧は,新生代に三重会合点の移動と背弧拡大を経験して島弧になったとされる.これらのイベントの時期や様式については多くの仮説が提唱されているものの,未だ統一見解が得られていない.近年では,年代測定技術や古応力解析法をはじめとする種々の研究手法の発展に伴って,1980-90年代のテクトニクス論の再検討が行われつつある.そこで本セッションでは,専門分野に捉われず西南日本の新生代地質に関する幅広い発表の場を設けることで,各分野の最新の知見の情報共有を行い,多角的な議論を行うことを目的とする.本セッションは,西南日本の新生代地質構造発達史に関する幅広い発表を募集する.話題はローカルなものから広域テクトニクスに関するものまで問わない.表層堆積盆に関連する層序学・古地磁気学的研究だけでなく,古環境や火成活動の変遷史,付加体の形成史,先新生界の新生代変形史・熱史など,新生代の西南日本で起こったイベントに関する多様な研究分野の発表を歓迎する.
提案母体:なし
招待講演予定者:木村 学(東京海洋大:会員)

T3. 南大洋・南極氷床:地質学から解く南極と地球環境の過去・現在・未来

Southern Ocean and Antarctic ice sheet: past, modern, future of the Antarctica and Earth’s climatic system revealed by geology
世話人:菅沼悠介*(極地研;suganuma.yusuke@nipr.ac.jp)・池原 実(高知大)・香月興太(島根大)
Convener: Yusuke Suganuma*(NIPR)・Minoru Ikehara (Kochi Univ.)・Kota Katsuki(Shimane Univ.)
近年,南極氷床の融解や流出の加速が相次いで報告され,地球温暖化に伴う近未来の急激な海水準上昇 が社会的に強く懸念されている.また南大洋では,海洋や大気循環の変動が連動した大規模な気候システムの再編の可能性も指摘されている.しかし,これらの現象は,過去数十年の観測から得られたもので,短周期の揺らぎである可能性もあり,長期的に継続し,やがて地球環境の激変につながるような現象かはわかってない.この人類的問いに迫るためには,長期的かつ大きな空間スケールでの南大洋・南極氷床変動メカニズムの理解が不可欠であるため,観測データ解析やモデル研究,古環境復元といった複数のアプローチからの総合的な取り組みが重要となる.そこで本セッションでは,第一線の氷床・気候モデル研究者や古海洋・古気候研究の専門家を招待し,南極域の海洋・沿岸・湖沼・露岩域を対象とする研究者と南大洋・南極氷床システムに関する知見を共有し,南極と地球環境の過去・現在・未来を議論する場を提供する.
提案母体:なし
招待講演予定者:関 宰(北海道大低温研:非会員)・平野大輔(極地研:非会員)

T4.地球史

History of the Earth
世話人:冨松由希*(九州大学;tomimatsu.yuki.396@m.kyushu-u.ac.jp)・大山 望(九州大)・桑野太輔(千葉大)
Convener: Yuki Tomimatsu*(Kyushu Univ.)・Nozomu Oyama(Kyushu Univ.)・Daisuke Kuwano(Chiba Univ.)
これまでの地球史において,大気や海洋,それに生命圏は様々な時間スケールでそれぞれ変化を遂げてきた.それらは,火山活動などの地球内部の活動だけでなく,太陽活動や公転軌道要素,隕石衝突などの地球外要因によっても駆動されている.また,地球史において,地球環境と生命は密接に関わっており,大気・海洋・生命圏でのダイナミックな環境変動が生物の環境への適応や絶滅に大きく影響する.それらの証拠は地層や化石といった地質記録に間接的に記録され,地球史上の様々な変動を,多岐にわたる科学的手法を駆使して紐解くことは,地質学の大きな醍醐味の一つといえよう.本セッションでは,特定の時代や科学的手法にとらわれず,地球史上に残される環境変動や生命の進化,地殻変動などの幅広い研究分野を取り上げたいと考えている.そして「地球史」というキーワードを通じて,様々な研究分野に携わる研究者同士が繋がり,最新の成果を集約したインタラクティブな議論を展開する場にしたい.大学院生や若手研究者の積極的な参加を期待します.
提案母体:環境変動支部会
招待講演予定者:泉 賢太郎(千葉大:非会員)・齋藤諒介(山口大:非会員)

T5.グローカル層序学・年代学

Glocal stratigraphy and geochronology
世話人:髙嶋礼詩*(東北大総合博;reishi.takashima.a7@tohoku.ac.jp)・折橋裕二(弘前大)・星 博幸(愛知教育大)
Convener: Reishi Takashima*(Tohoku Univ. Mus.)・Yuji Orihashi(Hirosaki Univ.)・Hiroyuki Hoshi(Aichi Univ. Edu.)
昨年Geologic Time Scaleが改定され,チバニアンをはじめとした各地質年代のGSSP認定も着実に進展している.近年,日本においても放射年代の測定機器の普及や,各種同位体比を用いた新しい層序対比手法,サイクロ層序学的手法も適用されるようになり,地層の年代対比・年代決定精度は大幅に向上しつつある.長い伝統のある化石層序学,古地磁気層序学,テフロクロノロジーなども,上記の新たな手法との統合や,分析機器の進展,湖沼や深海掘削コアの増加に伴うデータの蓄積により,対比基準面の改定や対比精度の向上が着実に進んでいる.各地域の地層の正確な年代の決定は,地味ではあるが地質学の根幹であり,ローカルのみならずグローバルな古環境変動やテクトニクスを考察するうえでも極めて重要である.本セッションでは,ローカルからグローバルまで,様々な層序対比・年代測定に関連する講演を募集する.
提案母体:なし
招待講演予定者:岡田 誠(茨城大:正会員)・松本廣直 (JAMSTEC:正会員)

T6.日本列島の起源再訪

The origin of the Japanese Islands revisited
世話人:磯﨑行雄*(東京大;isozaki@ea.c.u-tokyo.ac.jp)・澤木祐介(東京大)・佐藤友彦(岡山理科大)
Convener: Yukio Isozaki*(Univ. of Tokyo)・Yusuke Sawaki(Univ. of Tokyo)・Tomohiko Sato(Okayama Univ. Sci.)
日本列島形成史の研究の中でも,最も古典的かつミステリアスな問題として「日本列島の起源」がある.1980年代後半以降に,プレートテクトニクスの枠組みの中で東アジアのテクトニクスが議論されはじめ,その中で日本列島のルーツを探る試みが重ねられてきた.しかし視点は変わったものの,現実には古生代ないしそれ以前の岩石の日本での産出が極めて限定的であるため,初期日本のテクトニクスや古地理学的位置付けについては,未だに未確定要素が多い.しかし,2010年代にはLA-ICPMSによるジルコンU-Pb年代測定が普及し,古生代・中生代の火成岩類のみならず,砂岩中の砕屑性ジルコン粒子についても濃密なデータが得られるようになった.それは国内に限らず,近隣のアジア東縁においても同様で,それに伴って古地理の議論もかつての自由度が大幅に縮小した.特に日本列島に産する中・古生代造山帯の要素,そして日本海対岸を含む東アジア東縁の地質体との対比・比較を通して,Greater South Chinaなどの新しい解釈が提案されている.そこで,本セッションでは日本列島の形成過程に関する多くの講演を募るが,特にこれまで未知の事柄が多かった初期形成史に関する現時点での知識を議論し,次の探求目標を探ることを目指す.
提案母体:なし
招待講演予定者:谷 健一郎(科博:会員)・田中源吾(熊本大:会員)

T7.マグマソースからマグマ供給システムまで

From magma source to magma plumbing system
世話人:齊藤 哲*(愛媛大学;saitotetsu@sci.ehime-u.ac.jp)・草野有紀(産総研)・江島圭祐(山口大)
Convener: Satoshi Saito*(Ehime Univ.)・Yuki Kusano(GSJ/AIST)・Keisuke Eshima(Yamaguchi Univ.)
地球上に見られる多様な火成岩体は,マントル~地殻深部のマグマソースから火山体下のマグマ供給システムに至る広い環境下でのマグマプロセスを経て形成されたものであり,野外地質調査や観測,各種実験・分析により得られる岩石・鉱物の産状や組織,化学組成などの解析からは,マグマの起源物質,活動規模,固結・冷却年代,温度圧力条件,酸化還元状態などについての情報を得ることができる.個々の火山体・深成岩体から火山帯・バソリス群まで,また,様々な時代のプレート収束境界・プレート発散境界・プレート内などのマグマ形成場において,発生から定置・固結に至るまでのマグマの物理・化学的挙動や時間スケール,テクトニクスとの相互作用などを明らかにすることは,地球の進化およびダイナミクスの理解に重要である.本セッションでは,多様なテクトニクス場において発生・定置した火成岩体・火成岩類を対象に,マグマの発生・輸送・定置・分化などのマグマプロセスにアプローチした研究発表を広く募集する.野外地質学・岩石学・鉱物学・火山学・地球化学・年代学・岩石磁気学・物理探査など様々な視点からの活発な議論を期待する.
提案母体:火山部会・岩石部会
招待講演予定者:谷内 元(産総研:会員)

 

T8.文化地質学[共催:文化地質研究会]

Culture geology
世話人: 大友幸子*( 山形大;yukiko@e.yamagata-u.ac. jp)・森野善広(パシフィックコンサルタンツ株式会社)・ 猪股雅美(広島大:非会員,文化地質研究会会員)
Convener: Yukiko Ohtomo* (Yamagata Univ.)・Yoshihiro Morino (Pacific Consultants Co.Ltd.,)・Masami INOMATA (Hiroshima Univ.)
文化地質学は人類の文化・文明が,地質とどのように関わってきたか,そして現在もどのように関わっているかを研究する学際的学問分野である.これまでのトピックセッションでは,以下のような研究例が示された.(1)石材など資源として活用した事例研究,(2)考古遺物の成分分析を行った研究,(3)地域の固有文化との関わりを論じた研究,(4)博物館などでの普及・教育実践についての研究,(5)地質に関わる文学の研究,(6)山岳霊場など宗教と地質の関わりを論じた研究.中谷礼仁氏の招待講演では,プレート境界で生きる人々の暮らしや住まいについて,建築史,歴史工学から講演していただく.今年の大会でも,招待講演にやや関連のある(全)地域の固有文化と地質の関わりを論じた研究発表を歓迎したい.もちろん研究発表の申込みはこれに限定せず,文化・文明と地質との関わり,人・社会の営みと地質との関わり,観光資源としての地質など,地質と人々との関わりについて論じたすべての研究発表を歓迎する.
提案母体:なし
招待講演予定者:中谷礼仁(早稲田大:非会員)

T9.カーボンゼロエミッションに貢献する石油天然ガス石炭地質学・有機地球化学[共催:有機地球化学会,石油技術協会探鉱技術委員会]

Oil, Gas and Coal Geology and Organic Geochemistry Contributing to Zero Carbon Emissions
世話人: 三瓶良和*( 島根大;sampei@riko.shimane-u. ac.jp)・千代延 俊(秋田大)・山口悠哉(JAPEX)
Convener: Yoshikazu Sampei*(Shimane Univ.)・Shun Chiyonobu(Akita Univ.)・Yuya Yamaguchi(JAPEX)
カーボンゼロエミッションに向けて自然再生エネルギーが普及しはじめているが,化石燃料の多くはCO2を排出せずにエネルギー資源とする可能性が検討されており,カーボンゼロエミッションに貢献できる化石燃料への期待は高まっている.本セッションでは,水素エネルギー資源となる石油天然ガス・メタンハイドレートや褐炭, 水素指数の高い有機物を含む泥岩等,およびCCS・CCUS・DACとして大気CO2を貯留できる地層に関する研究成果の最前線とその関連研究分野を議論する.
提案母体:堆積地質部会
招待講演予定者:徂徠正夫(産総研:非会員)・辻 健(東 京大:会員)

 

T10.鉱物資源研究の最前線

Frontiers of Mineral Resources Research
世話人: 中村謙太郎*( 東京大;kentaron@sys.t.u-tokyo. ac.jp)・町田嗣樹(千葉工業大)
Convener: Kentaro Nakamura*(Univ. of Tokyo)・Shiki Machida(Chiba Institute of Technology)
資源は,人類の文明を支えるために不可欠の 要素であり,最先端の電子技術・環境技術にも多様なレアメタル資源が必須である.そのため,人類が今後環境・エネルギー問題を解決し,持続可能な社会を発展させる上で, 資源の安定的な確保は極めて重要な課題と言える.このような背景のもと,海底鉱物資源をはじめとする新しい資源の開発に向けた動きが活発化し,鉱物資源への注目が高まっている.鉱物資源の形成過程に関わる様々な元素の輸送・濃集過程は,地殻・マントルにおけるプレート運動やマグマ活動,大気・海洋における環境変動など,地球におけるダイナミックな物質循環と分化の一部に他ならない.そのため,鉱物資源の成因を考える上では,地球全体にまたがるグローバルな物質循環とその変遷が,資源形成とどのように関わってきたのかについての包括的な理解が不可欠である.そこで本セッションでは,鉱物資源そのものに対する研究に加えて,資源の形成メカニズムと地球の表層および内部環境,テクトニックセッティング,マントルダイナミクス等との関わりについてグローバルに議論する場を提供する.さらに,鉱物資源研究における新しい研究アプローチや研究手法を提案する機会も提供したい.
提案母体:鉱物資源部会
招待講演予定者:野崎達生(JAMSTEC:会員)

T11.堆積地質学の最新研究[共催:日本堆積学会,有機地球化学会,石油技術協会探鉱技術委員会]

Latest Studies in Sedimentary Geology
世話人:松本 弾*(産総研;dan-matsumoto@aist.go.jp)・ 足立奈津子(大阪公立大)・山口悠哉(JAPEX)
Convener:Dan Matsumoto*(GSJ, AIST)・Natsuko Adachi(Osaka Metropolitan Univ.)・Yuya Yamaguchi (JAPEX)
堆積物や堆積岩(砕屑岩・珪質岩・炭酸塩岩・蒸発岩・石油・石炭など)とそれを構成する物質(砕屑物・沈積物・有機物など)についての最近の研究成果を対象とし,野外調査や観測・分析による実証的な研究及び理論的・実験的な研究にもとづく堆積地質学分野の最新の知見を共有するとともに,今後の展望について議論する.堆積物/堆積岩の形成に関わるプロセス(風化・侵食・溶解・運搬・堆積・沈積・続成作用),堆積物/堆積岩の粒子形態・組織・構造・岩相・層序・堆積相・生物相,堆積前後の周辺環境の物理的・無機/有機化学的・生物学的研究および観察・測定・分析・探査手法などについての研究発表を募集する.また,石油・石炭地質に関する成因・産状・資源量などについての発表も歓迎する.
提案母体:堆積地質部会
招待講演予定者::渡邊 剛(北海道大:会員)

T12.火山噴出物から読み解く火山現象と防災への応用

Volcanic phenomena deciphered from volcanic products and their application to disaster prevention
世話人: 長谷川 健*( 茨城大;takeshi.hasegawa.paul@vc.ibaraki.ac.jp)・石毛康介(電中研)・山﨑誠子(産総研)
Convener: Takeshi Hasegawa* (Ibaraki Univ.)・Kosuke Ishige (CRIEPI), Seiko Yamasaki (AIST)
火山地質ならびに火山現象のモデル化やその応用に関し,マグマや熱水流体の上昇過程,噴火様式,噴火推移,噴出物の移動・運搬・堆積,各火山あるいは火山地域の層序学的研究,テフロクロノロジー,地球年代学的研究,テクトニクスと火山との関連性,化学組成,さらには噴火の推移予測や防災・減災対策に資する研究など,幅広い視点からの議論を期待する.
提案母体:火山部会
招待講演予定者:なし

T13.都市地質学:自然と社会の融合領域

Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments
世話人:中澤 努*(産総研;t-nakazawa@aist.go.jp)・小松原純子(産総研)・小荒井 衛(茨城大)
Convener: Tsutomu Nakazawa*(GSJ, AIST)・Junko Komatsubara(GSJ, AIST)・Mamoru Koarai(Ibaraki Univ.)
都市は,自然環境と社会環境の接点に存在する複雑なシステムである.レジリエントな都市を実現するためには,自然と社会の相互作用を理解することが不可欠である.都市地質学は,層序学,第四紀学,構造地質学,環境地質学,土木地質学,災害地質学,水文地質学など,都市に関連するすべてのテーマからなる総合的な地質学である.都市の地質情報は,都市の発展やインフラの維持に重要であり,極めて高い社会経済的価値を有している.国連は,持続可能な開発目標(SDGs)の1つに,持続可能な「都市」を挙げている.この目標を達成するために,地質の専門家は,関係するステークホルダーに必要な専門知識を提供するという重要な役割を担っている.また最近では,国のDX戦略の一環として,スマートシティの取り組みが各地で行われ,地質情報の社会実装のひとつの手段として期待されている.このような観点から本セッションでは都市の地質環境に関わるさまざまなテーマの講演を受け付ける.また国のDX戦略に対応した都市の地質情報のあり方についても議論したい.
提案母体:なし
招待講演予定者:野々垣 進(産総研:会員)

T14.大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク[共催:日本ジオパーク学術支援連合(JGASU)]

Geopark to enjoy and learn about the earth and human activities
世話人:天野一男*(東京大;ikap@cap.ocn.ne.jp)・松原典孝(兵庫県立大)・高木秀雄(早稲田大)
Convener: Kazuo Amano* (Univ.of Tokyo)・Noritaka Matsubara (Univ.of Hyogo)・Hideo Takagi (Waseda Univ.)
ジオパークは,大地とその上に広がる動植物やエコと私たちの生活・文化・歴史を総合的に理解し,楽しみながら学ぶ場である.現在日本には,9つのユネスコ世界ジオパークを含む46のジオパークがあるが,それぞれの地域で教育やジオツアーによる観光活動などがユニークな活発が展開されている.それらの活動にあたっては,大地の歴史(ジオ)やその上で展開されている人間活動との関連を,一般の方に分かり易く解説し現地を案内することが重要となる.本セッションは,研究者のみならずジオパークの現場で活動している博物館学芸員・ジオパーク専門員・自治体職員等も対象として,ジオパークに関連する幅広い講演を募集したい.本セッションの議論を通じても,日本地質学会としてジオパークの発展に寄与したい.
提案母体:ジオパーク支援委員会
招待講演予定者:なし
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ジェネラルセッション

東京・早稲田大会から,セッションを「トピックセッション」,「ジェネラルセッション」,「アウトリーチセッション」の3カテゴリに変更します.従来のレギュラーセッションは発展的に解消されました.(※今年はアウトリーチセッションは開催されません)
(参考)【重要】学術大会セッションの変更について(学会HPへ)

ジェネラルセッションでの発表を希望する方は,演題登録時に発表に関連する分野として ①地域地質・層序・年代,②岩石・鉱物・火山,③地球化学,④堆積地質,⑤海洋地質,⑥構造地質,⑦第四紀地質・環境地質,⑧古生物・古環境,⑨応用地質・地質災害・技術,⑩地学教育・研究史,⑪その他 の中から最大3つ選び,関連性の順位を記入できます(任意).行事委員会はその順位を考慮して演題をグルーピングし,最大10程度のサブセッションにまとめて配列する予定です.

129年学術大会ジェネラルセッションは下記のサブセッションにグルーピングされます(2022.7.3掲載)

  • サブセッション:構造(世話人 常盤 哲也 tokiwa*shinshu-u.ac.jp)
  • サブセッション:第四紀(世話人 三田村 宗樹 mitamura*omu.ac.jp)
  • サブセッション:環境地質(世話人 田村 嘉之 tamura*ckz.jp)
  • サブセッション:地学教育・研究史(世話人 矢島 道子 pxi02070*nifty.com)
  • サブセッション:地域地質・層序・年代(世話人 佐藤 大介 d-satou*aist.go.jp)
  • サブセッション:岩石・鉱物・火山(世話人 遠藤 俊祐 s-endo*riko.shimane-u.ac.jp)
  • サブセッション:海洋地質(世話人 松崎 賢史 kmatsuzaki*g.ecc.u-tokyo.ac.jp)
  • サブセッション:応用地質・地質災害・技術(世話人 西山 賢一 nishiyama*tokushima-u.ac.jp)
  • サブセッション:古生物・古環境(世話人 上松 佐知子 agematsu*eol.tsukuba.ac.jp)   (注)*印を@マークにして下さい 

(注)
  •  ダイバーシティ認定セッション [EDI: Equality, Diversity, Inclusion] 
  •  キャリア初期研究者 [ECS: Early Career Scientist]