一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

2023年6月16日(金) 11:30 〜 18:00 ポスター会場 (1階 G3)

※発表なし掲示のみ

[摂食更新P-11] 病棟との連携により歯科訪問診療での非経口摂取高齢者の口腔内環境が改善した3症例

○皆木 瞳1 (1. 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)

【緒言・目的】
摂食嚥下障害者は,口腔ケアにより口腔衛生状態を改善することが誤嚥性肺炎の予防に寄与することが広く知られている。しかし,要介護高齢者の口腔ケアに取り組む歯科医師や歯科衛生士にとって口腔ケアの実施に難渋するケースも多い。申請者は摂食機能療法専門歯科医師の取得後,歯科医院での歯科訪問診療部門の立ち上げ,歯科訪問診療を行ってきた。その中で口腔ケアに難渋する症例に対して,病棟看護師と協力することで口腔内環境が改善した3例について報告を行う。
【症例および経過】
口腔内の清掃状態が不良で,誤嚥性肺炎のリスクが高い要介護者から3例を対象とした。63 歳, 女性, 脳出血の既往あり。 71 歳, 男性, 脳梗塞・糖尿病の既往あり。 87 歳, 男性,脳出血・糖尿病・慢性肝炎の既往あり。3例とも経鼻栄養で,気管切開を実施していた。診察開始時には口腔乾燥が顕著で剥離上皮膜が口蓋を中心に口腔内全体に付着しており,口腔清掃に多くの時間がかかり難渋していた。そこで令和 4 年 4 月から病棟看護師と口腔ケア方法の見直しを行い,訪問歯科による専門的口腔ケアを週 1 度実施することに加えて口腔ケアジェル N.act(アース株式会社)を用いた日常的な口腔ケアの実施を開始した。口腔内環境は細菌カウンタ(パナソニック株式会社)による細菌数とムーカス計(株式会社ライフ)による口腔内保湿度を評価した。3週間継続した口腔ケアを実施したところ,ジェルでの口腔ケアでは水と比べて口腔細菌数が 61.0%減少(p=0.04)し,口腔内保湿度は 9.7%の増加(p=0.0005)を認めた。またすべての患者では誤嚥性肺炎の発症は認めなかった。なお対象者とご家族に対して,本報告の発表に対して書面および口頭で説明し,文書にて同意を得ている。
【考察】
歯科医師や歯科衛生士の専門的口腔ケアだけでなく看護師での協力のもと口腔ケアを日常的に実施していくことが,剥離上皮膜の形成を予防し口腔内を衛生的に保つことにつながった。目視で汚れがないように見えても,口腔内には数多くの菌が存在している。客観的に評価を行いチーム内で情報共有することで,日常的な口腔ケアを継続できることに繋がると考えられた。(COI 開示:なし)(大阪大学歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号:H27-E10-1)