一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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ポスター発表4
症例・施設

2023年6月17日(土) 10:30 〜 11:00 ポスター会場 (1階 G3)

座長:堀 一浩(新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)

[P20] 干渉波電気刺激療法を用いて摂食嚥下機能訓練を行った91症例の検討

○井藤 克美1、佐々木 力丸2、滑川 初枝2、金子 聖子3、三邉 民紗1、野本 雅樹1、吉永 典子1、小倉 涼子1、山下 智嗣1 (1. アペックスメディカル・デンタルクリニック、2. 日本歯科大学附属病院、3. 東京医科歯科大学高齢者歯科)

【目的】
当院では,月に約700件の歯科訪問診療を行なっている。以前は,歯科訪問診療の主訴は,大半を義歯に関する依頼が占めていた。しかし,近年は摂食嚥下機能低下に関連する主訴が増加してきている。 今回,嚥下機能障害のある患者に対して歯科訪問診療を行う際に,従来の嚥下機能訓練に加え,干渉波電気刺激療法(ジェントルスティム®)を行い,実施前後の嚥下機能の変化について確認することを目的として,後方視的に調査を行ったので報告する。
【対象と方法】
嚥下機能障害のある患者91名(男性16名,女性75名,平均年齢86.5)に対し,訪問診療時に従来の嚥下機能訓練に加え,干渉波電気刺激療法を30分行い,実施前後の食形態の変化等を調査した。また,実施した患者のカルテや嚥下機能評価表(大熊ら,日本摂食嚥下リハビリテーション学会2002)を基にデータを抽出し,原疾患別の層別解析,介護の状況を確認した。食形態の変更における分類は,食形態を維持した進行抑制群,食上げが見られた機能向上群,最期まで関わったターミナルの嚥下群とした。調査は2020年12月から2022年11月まで行い,干渉波電気刺激療法の平均実施回数は16.0回(週1回)であった。
【結果と考察】
主な原疾患は,認知症31名,脳血管障害15名,心疾患17名,高血圧13名,糖尿病12名等であった。患者の介護度については,ターミナルの嚥下対応患者群は全員が要介護5,食形態を現状維持した進行抑制群の介護度は要介護区分の平均3.5,機能向上群の介護度は要介護度は平均4.4であった。食形態の変化についての実数は,現状を維持した進行抑制群が91名中60名,食形態の変更(ペーストから一口大へ等)がみられた機能向上群は14名確認された。また,IVHから経口摂取への移行や,最期まで経口摂取を維持した症例なども確認された。 介護者や患者本人からの反響としては、『耳の聞こえが良くなった』,『この訓練は生きている実感がする』,『通常よりも長生きしていると感じる』というコメントが得られた。 以上の結果から,従来の嚥下機能訓練に加えて,干渉波電気刺激療法を併用実施により,嚥下機能向上という期待成果が得られる可能性が示唆された。今後,未実施群(コントロール群)との比較,実施期間による効果等を追加検討する予定である。
(COI開示:なし)(医療法人社団マイスター倫理委員会承認番号23-001)