一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表5
一般

2023年6月17日(土) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (1階 G3)

座長:永尾 寛(徳島大学大学院 口腔顎顔面補綴学分野)

[P28] 回復期リハビリテーション病棟へ入院した脳卒中患者の舌圧の変化に関する検討

○二宮 静香1,2、藤井 航3、山口 喜一郎1 (1. 医療法人博仁会 福岡リハビリテーション病院歯科、2. 九州歯科大学・大学院・歯学研究科・歯学専攻、3. 九州歯科大学・歯学部・口腔保健学科・多職種連携推進ユニット)

【目的】
回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟へ入院した脳卒中患者では年齢や摂食嚥下障害の影響により,舌圧は低値となることが報告されている。しかし,入院時および退院時の舌圧の変化に関しては未だ不明な点が多い。そこで,回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者を対象に入院時および退院時の舌圧を比較し,舌圧の変化に与える影響を検討することを目的とした。
【方法】
対象は2018年11月~2022年5月までの期間に回復期リハ病棟へ入院し,歯科衛生士による口腔健康管理を週3回程度行った脳卒中患者59名(平均75.7±9.3歳,43-91歳,男性39名,女性20名)とした。舌圧の評価は入院後および退院時の概ね1か月以内に測定した値を用いた。舌圧測定は3回測定し,平均値を用いた。また,主病名,Functional Independence Measure(FIM),栄養方法,Functional Oral Intake Scale,Body Mass Index,在院日数などについても電子カルテより情報を抽出した。解析は入院時舌圧および退院時舌圧を比較検討した。また,舌圧の変化に与える影響について検討するために,退院時舌圧から入院時舌圧の差を舌圧利得と定義し,舌圧利得の中央値以上を改善,未満を非改善とし多重ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準はp<0.05とした。本研究は当病院医療倫理委員会の承認を得て,後ろ向き調査で行った。
【結果と考察】
入院時ADLにおいてFIM運動項目が50点未満の全介助者は88.1%であったが,退院時では61.0%が全介助であった。また,全体の舌圧利得の中央値は4.0kPa(四分位範囲0.5-11.6 kPa)であった。入院時および退院時に測定した舌圧の比較では舌圧は有意に改善していた(p<0.01)。さらに,舌圧利得に与える影響には年齢およびFIM運動が影響を与えていた(p<0.05)。今回の対象は多くが全介助であり,年齢が43歳から91歳と幅を認めていたことから,舌圧利得にもばらつきを認めた。脳卒中患者は,年齢がFIM利得に影響を及ぼすことが報告されており,身体機能との関連がある舌圧においても同様であることが示唆された。高齢の対象者に関しては,年齢やFIM運動項目が舌圧利得へ影響を及ぼすことを念頭に置き,口腔健康管理に努めることが重要である。(COI開示:なし)(福岡リハビリテ-ション病院医療倫理委員会承認番号FRH2022-D-002)