第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題

[O5] COVID-19

2022年6月11日(土) 14:20 〜 15:20 第7会場 (総合展示場 314-315会議室)

座長:佐藤 みえ(東邦大学医療センター大森病院)

14:56 〜 15:08

[O5-04] 重症COVID-19患者を受け持つHCU/CCU看護師の 身体的・精神的負担の軽減に繋がる感染対策の検討

○本多 慶行1、萩本 明子2、片山 由加里2 (1. 国家公務員共済組合連合会枚方公済病院 HCU/CCU、2. 同志社女子大学 看護学部)

キーワード:COVID-19、重症COVID-19、看護師、感染対策、負担

〔目的〕A病院HCU/CCUにおいても、重篤化した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の受け入れを行っている。様々な対策を行った上で受け入れたが、看護師の感染暴露の危険性は高く、身体的・精神的負担は増大していることが考えられた。そこで本研究は、看護師の思いと身体的・精神的負担軽減に繋がる感染対策を明らかにすることを目的とした。
〔方法〕重症COVID-19患者を2回以上受け持ったHCU/CCU看護師8名に対し、患者を初回およびインタビュー前の最後に受け持った時に感じたことや思いについて、感染対策に焦点を当て、半構成的面接を実施した。面接結果から逐語録を作成、類似コードを集めカテゴリーを抽出し、分析、考察を行った。
〔倫理的配慮〕本研究はA病院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2020-034)。研究協力者には、研究の主旨、利益相反・不利益はないこと、参加拒否の権利、匿名性の厳守等について説明し、同意書による承諾を得た。
〔結果〕研究協力者の看護師平均年数5年、HCU/CCU平均勤務年数2.5年、一勤務あたりの患者との平均接触時間2.5時間、業務内容は、人工呼吸器管理、吸引、口腔ケア、栄養剤の注入、薬剤投与、採血、全身清拭、体位変換であった。分析により、115のサブカテゴリー、56のカテゴリーが抽出された。以下、抽出された代表的なカテゴリーを【】、サブカテゴリーを「」で示す。
初めて重症COVID-19患者と関わった時に感じたことは、【感染への恐怖】【受け持つ自信がない】【受け持たないといけない時がきてしまった】【受け持つことに対する負担】であった。【受け持つことに対する負担】は、「すべての看護業務を一人で行わないといけない」「隔離されていることによる不便さ」「PPE着脱に時間がかかり動きにくい」等で構成されていた。最後に関わった時に感じたこととして、【感染への恐怖】【やむなく受け持ちをする】【受け持つことに対する受容】が抽出された。安心に繋がる感染対策として、初回、最後とも、【物品の確保】【病床環境の整備】【感染対策の教育】【COVID-19の検査の実施】が抽出された。COVID-19患者を受け持ってもよい理由として、【感染への恐怖の軽減】【COVID-19に感染しなかった】が抽出され、【感染への恐怖の軽減】は「マニュアルが整うことで不安が軽減した」「相談できる相手がいる」「患者の看護にまわりも慣れてきた」等で構成された。受け持ちたくない理由として、【感染への恐怖】【身体的・精神的負担】が抽出された。
〔考察〕重症COVID-19患者と関わる際に生じる負の思いとして、【感染への恐怖】や【身体的・精神的負担】が抽出された。COVID-19患者と関わる際には、常に感染リスクがあり厳重な感染管理が必要となるため、隔離された環境下で長時間一人で患者と関わり、サポートが得られにくい状況にあるためと考えられた。しかし、最後の関わりでは、病院での感染対策の充実や受け入れてきた経験、周囲のサポート、現状の方法で感染が生じなかったことが恐怖や負担を軽減し、【受け持つことに対する受容】に繋がったと考えられた。
〔結論〕重症COVID-19患者と関わることで【感染への恐怖】を抱き、身体的・精神的負担が増大することや、身体的・精神的負担の軽減に繋がる感染対策として、【物品の確保】【病床環境の整備】【感染対策の教育】【COVID-19の検査の実施】が必要であることが明らかになった。さらに、良好な人間関係を構築する環境づくりも重要であることが示唆された。