日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIII-29-22_24] 管理・環境,畜産経営,動物介在(XIII-午後)

2019年3月29日(金) 14:20 〜 14:50 第XIII会場 (8号館8601講義室)

座長:八代田 真人(岐阜大)

14:20 〜 14:30

[XIII29-22] 放牧前における屋外の気象環境への馴致が放牧開始後の乳用育成牛の発育に及ぼす影響

新宮 裕子, 谷川 珠子, 杉本 昌仁 (道総研酪農試)

【目的】春の放牧開始直後の発育停滞は気象環境の急激な変化が要因とされている.この発育停滞を緩和させるため,放牧開始前の屋外での飼育が放牧後1ヵ月間の発育に及ぼす影響を検討した.【方法】2016年から3年間,放牧未経験のホルスタイン種育成雌牛(平均5±1ヵ月齢,処理開始時体重149±38kg,体高101±5cm)27頭を供試し試験を行った.放牧開始前の30日間を処理期間とし,牛舎内で30日間飼養した群を0日区,牛舎内で14日間飼養後,屋外パドックで16日間飼養した群を15日区,屋外パドックで30日間飼養した群を30日区とした(3頭/年/処理).処理期間中,全供試牛に同じ飼料を給与し,処理後,全頭を一群として放牧した.【結果】処理期間中の夜間平均気温は30日区(6.3℃)が0日区(7.4℃)よりも有意に低く,1日の平均風速は30日区(0.6m/s)が最も高かった(P<0.05).放牧1ヵ月間の体高変化量は処理間に差はなかったが,放牧開始時から放牧7,14,21および28日目までの平均体重変化量は30日区(‐9.9kg)が0日区(‐16.9kg)よりも有意に少なかった(P<0.05).放牧開始時体重に戻るまでに要した日数は30日区(33日目)が0日区(48日目)よりも短い傾向にあった(P=0.07).放牧開始1ヵ月前から屋外での馴致は春の放牧直後の体重減少を緩和できることが示唆された.