日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[XIV-29-25_27] 畜産物利用(XIV-午後)

2019年3月29日(金) 14:30 〜 15:00 第XIV会場 (8号館百周年記念ホール)

座長:山之上 稔(神戸大院農)

14:50 〜 15:00

[XIV29-27] Alicyclobacillus sendaiensisで発酵した魚アラの給与が三元豚の肉質に及ぼす影響

青木 拓矢1, 剣持 恵1, 田中 宙生1, 若林 成実1, 小川 恭喜1, 戸田 尚美2, 宮口 右二1 (1.茨城大農, 2.茨城畜セ)

【目的】我々は124回大会においてAlicyclobacillus sendaiensisで発酵させた魚アラ(発酵魚粉)をランドレース去勢 に給与すると,肥育成績が向上し,豚肉の多価不飽和脂肪酸の割合が高くなることを報告した.本実験では,広く流通している三元豚に同発酵魚粉の給与した際の豚肉の品質について調べることにした.【方法】前報と同様にA. sendaiensis処理で得られた発酵魚粉を三元交雑豚LWD (去勢)10頭 (体重が30kg)を2群に分け,対照区 (5頭)では通常飼料のみ,試験区 (5頭)では発酵魚粉を6%添加した飼料を体重が110 kgに達するまで給与した.と畜後,ただちに胸最長筋を採取し,同筋肉の一般成分,クッキングロス,リン含量,脂肪融点,脂肪酸組成,脂質酸化度を常法により求めた.【結果】発酵魚粉の給与により,クッキングロスには有意差はみられなかったが,水分およびリン含有量は試験区で有意に減少した.また,脂肪融点も試験区で有意に低くなったが,これは発酵魚粉に由来するω3不飽和脂肪酸の割合が試験区で高くなったことと対応していた.一方,試験区のTBARS値は対照区と同等の値を示し,貯蔵 (-30℃) 2カ月後でも有意な増加は見られなかった.以上の結果より,同発酵魚粉のLWDへの給与は,肉質を大きく損なうことなく,脂肪中のω3脂肪酸割合を高めることが明らかとなった.