日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-14] ウォッシュタイプチーズにおける機能性成分の解析と免疫調節作用

*樋本 小春1、生井 楓1,2、重盛 駿1、荻田 佑1、下里 剛士1 (1. 信州大バイオメディカル研、2. 長崎大院医歯薬学)

目的演者らは、様々なナチュラルチーズを用いて腸管バリアの保護作用を調査した結果、一部のウォッシュタイプチーズに優れた免疫調節効果がある可能性を見出した。そこで、本研究では同チーズ中の機能性成分の探索とその機能の検証を目的とした。
方法破砕したチーズを用いてエタノール抽出物を調製し、CE-TOFMSによるメタボローム解析に供した。その結果、ウォッシュタイプチーズに特徴的な成分としてカダベリンが同定された。同分子について、終濃度 0,0.1,1および 10 µMでマウス脾細胞(1.0×10⁷ cells)に添加し、37 ℃, 5% CO₂条件下で6 時間培養した。培養後、RT-qPCRにより各種サイトカインのmRNA発現量を解析した。
結果メタボローム解析の結果、一部のウォッシュタイプチーズにカダベリンが多量に含まれることを明らかにした。また、マウス脾細胞培養系において、カダベリンはTnfaおよびIl6の発現を有意に抑制し、IfnaおよびIfnb発現を有意に促進した。IFNはI型(α,β),II型(γ),III型(λ)に分類され、様々な免疫活性を示すことが知られている。なかでもIFN-α/βには優れた抗ウイルス作用が知られていることから、ウォッシュタイプチーズ中のカダベリンを有効成分として、抗炎症効果や抗ウイルス効果が発揮される可能性が示唆された。