日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境、畜産経営

管理・環境、畜産経営

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 管理・環境、畜産経営、動物福祉 (オンライン)

座長:猫本 健司(酪農大農食環境)、多田 慎吾(農研機構)、椎葉 湧一朗(信州大学)、阪谷 美樹(農研機構)

[VI-15-10] 飼料タンパク給与水準の違いが泌乳牛の尿浄化処理過程からの温室効果ガス発生に及ぼす効果

*野中 最子1、樋口 浩二1、大谷 文博1、林 征幸2、元嶋 健3、湯野川 景人4、山下 恭広1、長田 隆1 (1. 農研機構畜産部門、2. 農研機構九沖農研、3. 熊本畜研、4. 群馬中部農業事務所)

【目的】畜産からの温室効果ガス排出を抑制することを目的とし、泌乳牛に低タンパク質飼料を給与し、尿浄化処理過程から発生する温室効果ガスへの影響を検討した。
【方法】ホルスタイン種泌乳牛4頭を供試し、TDN要求量を充足するように標準タンパク質飼料(標準区:CP16.3%)、または、低タンパク質飼料(低CP区:CP13.0%)を1期14日間のクロスオーバー法により給与し、それらの牛からスポット尿を1Lずつ採取した。4頭分のスポット尿を区ごとに混合し、水で10倍希釈した希釈尿を原水とした。原水100mLと活性汚泥900mLを2L容メディウム瓶に投入し、環境温度20℃の室内において、処理水100mLの排水と原水100mLの投入を1日1回繰り返す回分式活性汚泥法を間欠曝気(静置2h+曝気2h)で行った。メディウム瓶から発生するガス量を測定し、スポット尿、原水および処理水性状を分析した。
【結果】投入原水のN濃度は標準区1672、低CP区923mg/Lであった。1日あたりのガス発生量(mg/日)は標準区、低CP区でそれぞれ、NH3-N:0.5、0.1、N2O-N:60.4、30.3、CH4:10.3、4.8であった。全窒素の除去率は、標準区63%、低CP区69%であった。泌乳牛の給与飼料CP含量を低下させることにより、尿浄化処理過程からの温室効果ガスが低減される可能性が示唆された。