日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養2

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:黒澤 亮(東京農大)、泉 賢一(酪農大農食環境)、河合 正人(北大FSC)、塚原 隆充(栄養・病理研)、川瀬 貴博(栄養・病理学研究所)、石川 翔(兵庫淡路農技セ)、熊谷 元(京大院農)、平山 琢二(石川県大生物資源)

16:00 〜 16:10

[I-16-36] 短距離輸送した育成牛における第一胃内保護メチオニン補給の影響

*武本 智嗣1 (1. 全農飼中研)

【目的】育成牛の輸送は体重や血液成分に悪影響を及ぼす。我々は、長距離輸送はメチオニン(Met)不足を引き起こし、Metから合成されるコリンの第一胃内保護補給は長距離輸送による増体抑制を低減することを明らかにしている。短距離輸送は、長距離輸送同様、体重低下や血中グルコース低下などの変化を引き起こすことが知られているので、短距離輸送でもMet不足が生じている可能性がある。本試験では、育成牛において第一胃内保護メチオニン(RPM)補給が短距離輸送による悪影響を低減するか検討した。【方法】10頭の育成牛を6時間の絶食・絶水とともに輸送した。半数の育成牛に対してRPMを40 g/日/頭(Metとして34 g/日/頭)補給した。体重測定と採血を31日間行った。また約30ヶ月齢まで肥育し枝肉成績の比較も行った。【結果】血清中Met濃度は輸送により一時的に低下した。RPM補給は血清中Met濃度を上昇させた。輸送により、血清中総コレステロールおよびグルコース濃度が低下したが、RPM補給はこれら濃度低下を軽減した。31日間の日増体量は補給群が高かったが、出荷までの日増体量に群間差はなかった。対照群より、補給群のロース芯面積は高い傾向があり、歩留基準値は高かった。以上より、育成牛に対するRPM補給は短距離輸送による血清中Met濃度低下を一時的に軽減すること、肥育後の枝肉成績を改善する可能性が示された。