日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場2 (オンライン)

座長:口田 圭吾(帯畜大)、渡邊 敏夫(一般社団法人家畜改良事業団家畜改良技術研究所)、廣岡 博之(京大院農)、上本 吉伸(東北大院農)、萩谷 功一(帯畜大)

11:40 〜 11:50

[II-16-17] 蹄冠スコアに影響をおよぼす環境要因の検討

*齋藤 ゆり子1,4、西浦 明子1、山崎 武志2、足達 和徳3、佐藤 正寛4、佐々木 修1 (1. 農研機構畜産部門、2. 農研機構北農研、3. 家畜改良事業団、4. 東北大院農)

【目的】乳牛における蹄病は、治療コストや淘汰率の増加に加え、乳量の減少、繁殖性の低下など経済的損失に繋がる重大な疾病のひとつである。蹄冠スコアは乳用牛群検定で蹄の状態を示すものとして測定・収集されており、健全性の遺伝的能力評価に利用できる可能性がある。遺伝的能力評価モデルを検討するため、蹄冠スコアに影響をおよぼす環境要因について検証した。【方法】分析には、乳用牛群検定により2014年4月~2021年11月に収集された検定日記録を用いた。蹄冠スコアは1(良い)、2(注意)、3(悪い)の3段階とし、初産~3産の225,957個体について、分娩後6~305日までの3,326,052記録を用いた。分娩後日数を10日ごとに区切ったものを泌乳ステージとした。環境要因として、牛群-検定年、分娩時月齢、検定月、泌乳ステージの効果を最小二乗分散分析により産次別に解析した。【結果】蹄冠スコアは産次の増加に伴い高くなる傾向が見られた。すべての産次において、分娩時月齢、検定月、泌乳ステージの各効果ともP<0.001で有意であった。初産では、泌乳ステージの効果が大きく、泌乳ステージの経過に伴い蹄冠スコアが高くなった。2産と3産では分娩時月齢の効果が大きく、月齢の上昇に伴い蹄冠スコアが高くなった。以上より、これら効果は蹄冠スコアに影響をおよぼす環境要因であり、効果の大きさは産次によって異なることが示唆された。