日本畜産学会第130回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演3(畜産物利用、畜産経営)

2022年9月15日(木) 09:00 〜 10:45 Zoom会場3 (オンライン)

座長:若松 純一(北海道大学)、中村 正(帯畜大生命・食料)、福田 健二(帯広畜産大学)、小澤 壯行(日獣大応用生命)

10:30 〜 10:45

[IIIYS-07] アミノ酸バランス改善飼料に対する養豚農家の導入意向とそれを後押しする情報提供のあり方に関する研究

*楠戸 建1、長田 隆2、荻野 暁史3、丸山 優樹1、佐々木 宏樹1 (1. 農林水産政策研、2. 農研機構本部企画戦略本部、3. 農研機構畜産部門)

本研究では,持続可能な養豚業の実現に向けた解決策の一つであるアミノ酸バランス改善飼料(以下,バランス飼料)について,①その導入状況と導入意向を把握し,②選択実験により,飼料の属性(枝肉成績・日増体量・一酸化二窒素の削減量・飼料の国産割合・飼料価格の5属性)ごとに農家の選好を把握した。調査票の送付時にバランス飼料の「技術的な説明のみ行う」対照群と「技術的な説明に加え,実際に使用した農家の声を追加して説明する」介入群の2グループにランダムに分けるとともに,選択実験においては,調査票内で小売・流通側からの需要があることを明示し,選好が変化するか検討した。茨城県の全養豚農家268農家を対象とし,112農家(41.8%)から回答を得た。①導入状況と導入意向の調査からは,バランス飼料は14農家ですでに導入されており,また半数以上の農家が導入意向を示していたが,農家の声を追加した介入の効果は,統計的有意にはみられなかった。②選択実験では,導入意向があり,選択実験にすべて回答のあった52農家について条件付ロジットモデルで分析した結果,価格や増体,枝肉成績だけではなく,一酸化二窒素の削減や飼料の国産割合も重要視していた。また農家の声を追加した場合のみ,枝肉成績の増減に対する限界効用が有意に低く,バランス飼料が枝肉成績等に影響しないことを農家の実際の声により補強し,不安感が軽減できる可能性を示した。