日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第II会場 (大講義室)

座長:大坂 郁夫(明治飼糧株式会社)、谷川 珠子(道総研酪農試)、杉野 利久(広島大院統合生命)、野中 最子、近藤 誠(三重大学)

09:30 〜 09:40

[II-20-04] ルーメンバイパス性の高い脂肪酸カルシウムの長期給与が乳牛の生産性および乳成分に及ぼす影響

*宇喜多 遥1、樋口 浩二1、西田 理恵2、有坂 京祐2、澤戸 利衣1、野中 最子1、佐々木 修1 (1. 農研機構畜産部門、2. 家畜改良セ)

【目的】ルーメンバイパス性の高い脂肪酸カルシウム(HB-CSFA)は効率的に飼料のエネルギー含量を高める効果が期待されるが、長期給与による乳牛への影響は不明確である。本研究ではHB-CSFAの長期給与が乳牛の生産性および乳成分に与える影響について明らかにすることを目的とした。【方法】フリーストール牛舎で飼養する経産牛13頭を6~7頭ずつ対照区および試験区に分けた。対照区は基礎飼料のTMR、試験区は不飽和脂肪酸含量を高めたHB-CSFAを乾物中粗脂肪含量が6%程度になるよう基礎飼料に混合し、いずれも飽食させた。基礎飼料による1週間の馴致後、採材(第1週)をおこなったのち試験区の給与を開始し、第2、5、9および14週に各5日間残食と牛乳の採材を行った。各測定項目について混合モデルを用いて解析した。【結果】乳量、乳タンパク率、乳脂率、乳糖率については試験期間全体を通じて両区に差は認められなかった。また、試験区では給与開始1週目からプレフォーム脂肪酸割合および不飽和脂肪酸割合が上昇、飽和脂肪酸割合が低下し、これらの変化は試験終了時まで維持された。これはHB-CSFAに含まれる不飽和脂肪酸が乳中へ移行したことが原因と考えられた。以上よりHB-CSFAの長期給与は本条件において乳牛の生産性に影響を与えなかったが、乳中脂肪酸組成は給与するHB-CSFAの脂肪酸組成に影響を受けることが示唆された。