日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅱ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:30 第III会場 (1・2番講義室)

座長:井上 慶一(宮大農)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、佐々木 修(農研機構畜産部門)、下桐 猛(鹿大農)

09:00 〜 09:15

[IIIYS-19-01] アジア在来ヤギにおける毛色の多様性に関わるMC1R遺伝子多型の探索

*釋 天音1、川口 芙岐1、万年 英之1、笹崎 晋史1 (1. 神戸大学大学院農学研究科)

【目的】哺乳類の毛色の多様性には、メラノサイトに存在するメラニン細胞刺激ホルモン受容体(MC1R)が大きく関わっていることが知られている。本研究では、アジア在来ヤギを用いMC1R遺伝子多型の同定及びその頻度を調査することを目的とした。【方法】フィリピン在来ヤギ60個体と、ネパール、カンボジア、カザフスタン在来ヤギ各30個体、計180個体を用い、MC1R遺伝子コード領域全長954bpの塩基配列決定を行った。【結果】先行研究で報告されていた4多型(c.183C>T(p.A61)、c.676A>G(p.K226E)、c.748T>G(p.F250V)、c.801C>G(p.C257W))および新規3多型(c.147 delG(p.L50fs)、c.359T>C(p.I120T)、c.775C>T(p.L259))の計7多型を同定した。c.147の欠失はネパールの5個体のみ、c.359とc.775はフィリピンの5個体のみで検出され、c.183とc.748は完全に連鎖していた。c.359、c.676、c.748 、c.801はミスセンス変異、c.147はフレームシフトであり、MC1Rの機能に影響する可能性が考えられる。今後、各多型の構造的、性質的影響や、表現型と遺伝子型との関連調査により、アジア在来ヤギにおける毛色の原因多型が明らかになると期待される。