日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第IV会場 (3番講義室)

座長:小林 仁(宮城大学)、平山 博樹、唄 花子(北海道大学)、三浦 亮太朗(日本獣医生命科学大学 )

13:20 〜 13:30

[IV-20-15] 生殖器特異的FXRレスキューマウスの作出

*石原 彩圭1、諸白 家奈子1、富岡 郁夫1 (1. 信州大院総合理)

目的
 FXR (Farnesoid X Receptor)は、コレステロール、脂質、糖などの恒常性維持を担う核内受容体である。2000年のCell誌に報告された全身性FXR-KO(KO:ノックアウト)マウスは生殖機能に異常がなかったことから、FXRは現在まで生殖機能に関与しない因子と考えられてきた。しかし、本研究室で独自に作出した全身性FXR-KOマウスの解析から、FXRが卵巣で卵胞発育や排卵の抑制機能を持つことが示唆された。しかし、この結果は卵巣以外の組織でのFXR欠損の影響を受けている可能性も考えられた。そこで本研究は、生殖器特異的にFXRを発現させた生殖器特異的FXRレスキューマウスを作出し、卵巣におけるFXRの機能を解明することを目的とした。

方法
① AmhプロモーターにFXR遺伝子を連結させたレンチウィルスベクターを作製し、全身性FXR-KOマウスの受精卵に導入後、仮親へ移植した。
② 交配を重ね、生殖器特異的FXRレスキューマウス系統を樹立した。
③ 生殖器を摘出し、FXRとその標的遺伝子の発現量を解析した。

結果
 4匹の生殖器特異的FXRレスキューマウスのファウンダー作出に成功し、精巣においてFXRが野生型マウスより高発現している次世代個体を獲得した。一方、卵巣でFXRが高発現している個体は得られておらず、今後、獲得でき次第、卵巣におけるFXRの機能解明を目指す。