日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝Ⅰ

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第V会場 (4番講義室)

座長:和田 健太(東京農業大学)、石原 慎矢(日本獣医生命科学大学)、石川 明(名大院生命農)、鈴木 恒平(家畜改良セ)、谷口 雅章(農研機構畜産研)、福田 智一(岩手大理工)

09:00 〜 09:10

[V-20-01] Long-read全ゲノムデータを用いたニワトリ内在性レトロウイルスの検出および解析

*石原 慎矢1 (1. 日獣生科大応生)

【目的】レトロウイルスが生殖細胞に感染し子孫に遺伝すると内在性レトロウイルス(ERV)となる。これまでShort-readデータを用いたERV座位の特定方法の確立を行ってきたが、Long Terminal Repeat(LTR)の有無に依存する方法でありERVの内部構造の同定は困難であった。本研究では、Long-read全ゲノムデータを用いてニワトリERVのん内部構造解析を目的として実験を行った。【方法】INSDCより肉用鶏のロングリードとショートリードの全ゲノムデータをそれぞれダウンロードし、参照ゲノム(galgal6)へマッピングした。次にRetroSeqおよびショートリードを用いて参照ゲノム上に存在しないERV座位を推定した。ERVが確認できた座位について周辺のロングリードを抽出しERV配列の確認を行なった。【結果・考察】TSDは18座位において確認することができた。これらの座位にマッピングされたリードはそれぞれERV配列を有しており、8座位が内部構造を持つERV、それ以外の10座位はLTR配列のみを持っていた。内部構造を持つERVは6座位がenv遺伝子に欠損を持つEAV-0で、残りの2座位がpol遺伝子を持たないEAV-HPと古い時代に分岐したと考えられるEAV-E51であった。Long-read全ゲノムデータを用いることでニワトリERVの詳細な解析が可能となった。