[P-1-083] 7T MRIを用いて透明脳を視る
【背景・目的】近年、脳神経連絡構造を解明することにより、脳神経疾患を解剖学的側面から原因を解明・研究する技術が進展している。Scaleを用いた脳透明化技術は、その中でも特に三次元的構造評価に適しており、脳を切断することなく神経連絡を三次元的に観察できる。現在、透明化した脳をMRIにより評価した報告はない。本研究は、Scale処理透明脳を7TMRIにより、透明脳化処理による構造変化を評価することを目的とした。
【方法】還流固定後のマウスの死後標本脳を正中にて切断し、一方のみにScaleによる透明化を行い、他方は処理行わず、同一個体にて左右を比較することにより検討を行った。また、脳内に浸潤した試薬による計測差を無くすため、透明化処理を解除し、同一の保存液で統一することにより透明脳の構造変化の評価を行った。7T MRI 装置(Biospec, Blukerbiospin社)を用い、T1map、T2mapおよびDTIより算出したFA, ADC, λにより評価を行った。
【結果】通常脳と透明脳のT1値、T2値およびFA値を解析し平均値による比較した結果、透明脳化処理を行うことにより、T1値は約2割の低下、T2値は約2割の上昇を示した。さらにFA値は半減した。加え、トラクトグラフィによる線維走行の変化を比較した結果、トラック数の減少、線維長の短小化が確認された。
【考察】 Scale試薬は主成分を尿素とする液体であり、尿素の浸透圧が非常に高いという特性を利用して透明化を行っている。そのため、透明化を行うと浸透圧の影響で脳が膨張する。T2値やADCの上昇から、細胞間質に水分子が流入し、浮腫が起こっていると考えられる。また、透明化処理解除後も浮腫状態は継続していたといえる。今後、病理切片、DTTなどにより詳細な脳神経構造連絡の解明を進める必要がある。
【結論】本研究により、透明脳は浮腫を起こしている可能性が示唆された。
【方法】還流固定後のマウスの死後標本脳を正中にて切断し、一方のみにScaleによる透明化を行い、他方は処理行わず、同一個体にて左右を比較することにより検討を行った。また、脳内に浸潤した試薬による計測差を無くすため、透明化処理を解除し、同一の保存液で統一することにより透明脳の構造変化の評価を行った。7T MRI 装置(Biospec, Blukerbiospin社)を用い、T1map、T2mapおよびDTIより算出したFA, ADC, λにより評価を行った。
【結果】通常脳と透明脳のT1値、T2値およびFA値を解析し平均値による比較した結果、透明脳化処理を行うことにより、T1値は約2割の低下、T2値は約2割の上昇を示した。さらにFA値は半減した。加え、トラクトグラフィによる線維走行の変化を比較した結果、トラック数の減少、線維長の短小化が確認された。
【考察】 Scale試薬は主成分を尿素とする液体であり、尿素の浸透圧が非常に高いという特性を利用して透明化を行っている。そのため、透明化を行うと浸透圧の影響で脳が膨張する。T2値やADCの上昇から、細胞間質に水分子が流入し、浮腫が起こっていると考えられる。また、透明化処理解除後も浮腫状態は継続していたといえる。今後、病理切片、DTTなどにより詳細な脳神経構造連絡の解明を進める必要がある。
【結論】本研究により、透明脳は浮腫を起こしている可能性が示唆された。