日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】 ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表②

2022年9月1日(木) 15:30 〜 16:33 第2会場 (3号館4階401教室)

座長:小西 康仁(東海大学)

15:46 〜 16:01

[競技スポーツ-C-06] 近年の段違い平行棒の傾向と今後の展望(方)

*村山 大輔1 (1. 京都先端科学大学)

体操競技における段違い平行棒は、男子の平行棒から段差をつける等の変容を見せて1936年のベルリンオリンピック大会から正式に独立した。2022年までにこの種目は、数々の器具規格の変更やルール変更を経て、技術も大きく変化してきた。とりわけ、近年では懸垂系の技の発展が著しく、演技における実施率も支持系の技に比べて高い。それ故、段違い平行棒は「男子の鉄棒化」と呼ばれることがある。また、多くの選手が似たような演技構成になる「モノトニー現象」も指摘されており、新たな技の出現や傾向が期待されている。
 本研究では、近年の段違い平行棒の技術を史的発達の視点から示し、指導現場に有益となる今後の展望について示唆することを目的とした。
 方法は、初めに、過去10年の国際大会での段違い平行棒の演技を把握し、近年の演技及び技術の傾向を把握する。史料は、関連の文献、採点規則、日本体操協会が発刊する研究部報、大会映像を用いた。続いて、演技構成や実施の背景にある志向性を捉え、最後にモノトニー現象を改善する方法を提案する。
 考察の結果、以下のことが明らかとなった。
  1) 近年は、ルールの客観化傾向により、「高難度志向」が認められる
  2) 組み合わせ加点(CV)による技の連続で高得点を狙う傾向がある
  3) 独創的な単独技がモノトニー現象の打破に繋がる
 これらのことから、段違い平行棒特有の独創的単独技の実施が重要であることが分かった。独創的単独技の具体については、当日発表する。
 本研究では、近年の段違い平行棒の技術を史的発達の視点から示し、指導現場に有益となる知見が得られた。