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[08測-口-03] 体力テストの信頼性を検討する統計モデル
級内相関係数のタイプの比較
スポーツ科学分野において、専門的な機器の使用など環境要因に制限されず、信頼性と妥当性の高いフィールドテストを開発する研究は大きな意義を有する。フィールドテストの信頼性は再テスト法により検討されることが多く、級内相関係数(ICC)により評価される。ICCを算出するためにはいくつかの統計モデルがあり、モデルによりICCの値は異なる。しかしながら、信頼性を検討する場合、論理的根拠が示されず最も保守的な(低い)ICCを算出するモデルを用いる研究も少なくない。本研究では、敏捷性を測定する2つの新しいフィールドテスト(全身反応時間テスト、ラダーテスト)を想定し、2つのICCモデルを比較することにより、フィールドテストの信頼性の分析について検討する。一つのモデルは最も保守的でテストを複数回実施することによる学習効果や疲労(順序効果)を想定しないICC(1, 1)であり、他方のモデルは順序効果を固定効果とするICC(3, 1)とした。シミュレーションにより、全身反応時間テストでは固定効果が存在し、ラダーテストでは固定効果が存在しないデータセットを作成した。ICC(1,1)では、全身反応時間テストがρ = 0.81(95%信頼区間: 0.58-0.92)、ラダーテストがρ = 0.98(0.96-0.99)であり、ラダーテストの方が高いICCを示した。ICC(3,1)では、全身反応時間テストがρ = 0.99(0.98-0.99)、ラダーテストがρ = 0.98(95%信頼区間: 0.95-0.99)であり、おおよそ同程度のICCであった。また、反復横跳びを基準に妥当性を確認した場合、両テストの妥当性は同程度(r ≧ 0.89)であった。体力測定では学習効果や慣れなどの順序効果が存在すことが頻繁であるため、順序効果の有無やその性質を考慮して、信頼性を確認することが望ましい。