日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表②

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:14 RY305 (良心館3階RY305番教室)

座長:赤澤 暢彦(早稲田大学)

13:45 〜 13:59

[生涯スポーツ-C-05] 成人のスポーツクラブへの所属に関連する要因(経,社,心)

クラブライフスキルに着目して

*奥田 直希1、林田 敏裕2、清水 紀宏2 (1. 高松大学、2. 筑波大学)

スポーツクラブに所属し日々活動することは、スポーツの効用を最も享受できる運動生活であるとされている。しかしながら、我が国の成人のスポーツクラブ所属率は、長年にわたって20%に満たない値を推移しており、十分であるとは言い難い。
 スポーツクラブへの所属に関連する要因は様々なものが指摘されているが、とりわけ、スポーツ生活経営論の立場からはスポーツ生活能力に着目する必要性が論及されてきた。しかしながら、スポーツ生活能力の構成要素やスポーツ生活との関連を実証的に検討した研究は、管見の限り存在しない。そのため、特定のスポーツライフを送るためにはどのようなスポーツ生活能力が必要になるのか、といったスポーツ生活能力に関わる基礎的な知見の導出が求められる。
 これらを踏まえ、本研究はスポーツ生活能力とスポーツ生活の関連を実証的に解明することを目的とした。具体的には、成人のスポーツクラブへの所属に関連する要因として、クラブライフスキルを取り上げ、それらの関係を実証的に明らかにすることを研究課題として設定した。なお、クラブライフスキルとは、スポーツクラブに所属し活動する運動生活であるクラブライフを営むために必要となるスポーツ生活能力のことを指す。
 クラブライフスキルについては、クラブライフの特性を考慮したうえで、ソーシャルスキル等に関する先行研究を参照し、「時間調整スキル」「人間関係スキル」などの下位スキルから構成される概念として設定した。
 調査は2018年12月にインターネット調査会社を通じて実施され、1546名から回答を得た。その後、論理的に矛盾のある回答や努力の最小限化をした者を除外し、1261名を分析対象とした。
 分析の結果、クラブライフスキルと成人のスポーツクラブへの所属との間に有意な関連が認められた。今後は本研究への批判的検討を加え、スポーツ生活能力に関する知見の更なる蓄積が求められる。