日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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体育心理学/口頭発表②

2023年9月1日(金) 15:10 〜 16:09 RY206 (良心館2階RY206番教室)

座長:雨宮 怜(筑波大学)

15:50 〜 16:09

[03心-口-06] 価値の明確化・キャリア探索行動とキャリアレディネスとの関連性の検討

大学運動部に所属する学生アスリートを対象に

*並木 伸賢1、堀野 博幸2 (1. 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科、2. 早稲田大学スポーツ科学学術院)

【背景】大学運動部に所属する学生アスリートは、競技力向上のみならず将来に対する意思決定が必要な時期にある。本邦では、競技以外の領域に転用可能なスキルを身に着ける支援が中心に行われてきたが、キャリアへの関心を高め準備を促すメカニズムについてはあまり解明されていない。本研究では、価値の明確化(どのような人生を送りたいのかを考え、それに沿った行動を取ること)およびキャリア探索行動(自己探索:自身の特徴や将来を考えること、環境探索:職業情報に関する情報収集)を関連要因として検討した。
【方法】2023年3月にオンライン調査会社を通じてアンケートを配布・回収し、適切な回答が得られた213名が分析対象者となった(男性71名、女性142名、平均年齢19.82±1.16歳)。測定尺度には、価値の明確化尺度(齋藤ほか、2017)、キャリア探索尺度(安達、2010)、キャリアレディネス尺度短縮版(坂柳、2019)を用いた。 【結果および考察】価値の明確化およびキャリア探索(自己探索、環境探索)を説明変数、キャリアレディネスを目的変数とした重回帰分析を実施したところ、価値の明確化と環境探索は有意な影響が確認されたが、自己探索は確認されなかった(F (3, 209)=155.31、p < .001、R 2 = .69)。この結果を踏まえて、自己探索が価値の明確化・環境探索に影響を与え、価値の明確化・環境探索のそれぞれがキャリアレディネスに影響を与えるモデルを作成し共構造分散分析を実施したところ適合度が良好なモデルが得られた(GFI = .995, AGFI = .975, RMSEA = .019,CFI = 1.000)。大学生アスリートにおいて、自己探索自体は直接的に影響しないが、自身のことを理解することで価値が明確化および情報収集行動が促進され、最終的にキャリアへの関心・準備に繋がる可能性があると考えられた。