資源・素材2024(秋田)

講演情報(2024年8月7日付 確定版)

企画講演

【企画講演】最近の採掘技術に関するトピック ② [9/10(火) PM 第2会場]

2024年9月10日(火) 13:00 〜 14:55 第2会場 (一般教育2号館 1F 102) (一般教育2号館 1F 102)

司会:坂口 清敏(東北大学)、佐藤 晃(熊本大学)

●石灰石鉱山をはじめとする採掘技術に関する最新の技術や関連する研究成果の発表を通して,新たな技術開発の知見を交換しする場を提供する。また,この企画発表を通して技術者および研究者どうしの親睦をはかり,新たな採掘技術発展のための知識を集約する。

<発表:20分中、講演15分、質疑応答5分/1件>

13:20 〜 13:40

[1207-11-02] 宇根鉱山における残壁変位の分類と対策工事効果の検証について

○酒井 智生1、青山 秀夫2、小川 智史1 (1. 菱光石灰工業株式会社、2. UBE三菱セメント株式会社)

司会:坂口 清敏(東北大学)

キーワード:石灰石採掘、残壁、変位、亀裂変位計、降雨

武甲山最終残壁では残壁表面や坑道内において各種計測を実施し残壁挙動のモニタリングを行っている。宇根鉱山の残壁では、大雨時の短期的な挙動を含む連続的な変位が計測されており、降雨データおよび残壁坑道内での変位計測に用いた高精度の亀裂変位計データから残壁変位の特徴について解析を試みた。その結果、残壁変位は「大雨によらず定常的に発生する変位」(便宜上、「Ⅰ型変位」と呼称)と「大雨時に発生する変位」 (同、「Ⅱ型変位」)に分類できることを明らかにした。さらに、残壁内の水位上昇とⅡ型変位速度の関係性を評価した結果、降雨により水位が一定の値を超えるとⅡ型変位速度が加速することを確認した。
このことから残壁内部の地下水位を低減させることが効果的な残壁安定化対策であると考え、降雨浸透防止の舗装工や水抜き坑道の掘削、水抜きボーリングを実施した。その結果、Ⅱ型変位を大幅に抑制することができ、総雨量660㎜を超える記録的豪雨であった2019年10月の台風においても、Ⅱ型変位の発生は従来の大雨時の1/10以下程度であった。
本報告では坑道内亀裂変位を基に、残壁変位をⅠ型変位とⅡ型変位に分類した手法および対策工事の効果について紹介する。