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[A-11] 要緊急対処特定外来生物ヒアリの国内侵入状況および定着阻止技術開発の最先端
南米原産の侵略的外来生物ヒアリSolenopsis invicta(ハチ目:アリ科)の日本への侵入事例は、2023年末までに18都道府県111事例に達した。ヒアリの定着が目前に迫り、2023年に環境省は、外来生物法改正においてヒアリ類を最優先防除対象とする「要緊急対処特定外来生物」という新枠組に指定することとした。国立環境研究所では、これまでにも国内外の研究者と連携し、ヒアリの早期発見・防除技術の高度化を推進してきた。海上輸送の段階でヒアリの持ち込みを阻止する技術として、わさび由来天然化学物質アリルイソチオシアネートによるコンテナ内ヒアリ忌避技術を開発し、台湾でのコンテナ試験でその有効性を確認している。港湾における水際対策手法としてコンテナ内ワンプッシュ型エアゾール剤防除手法を開発し、改正外来生物法にガイドラインを実装した。またコンテナから逃亡したヒアリ集団を防除するための有効薬剤選定のため、アリ類急性・慢性毒性試験法を開発し、コロニーレベルでの薬効の定量評価も実現した。さらに早期発見技術として、遺伝子同定用LAMPキットの高度化並びに、台湾で既に実用化されているヒアリ探知犬の国内での有効性を検証した。本講演ではこれらヒアリ対策の最前線について発表する。