11:00 〜 11:15
[B-09] 捕獲消長と交雑試験の結果からのキハラゴマダラヒトリとアカハラゴマダラヒトリの間の種の識別に関する検討(チョウ目,ヒトリガ科)
キハラゴマダラヒトリSpilosoma lubricipeda (Linnaeus)とアカハラゴマダラヒトリS. punctaria (Stoll)(チョウ目,ヒトリガ科)は外見が互いによく似ているが,主に腹部背面の色彩(キハラが黄色,アカハラが赤色)によって識別され,これまで一貫して別種として扱われてきた.ところが岩手県盛岡市下厨川において,この両者間と思われた交尾が観察されたので,交雑試験を行うとともに,1986〜1990年の誘蛾灯での毎日の捕獲記録を解析することにより,両者間の種の識別について考察した.
交雑試験の結果は,調査した盛岡市下厨川の個体群が腹部背面の色彩にある程度連続的な黄〜赤の変異を示す単一種からなることを示唆した.ところが,誘蛾灯で捕獲された世代ごとの腹部背面の色彩が異なる個体の比率や性比などの特徴は.調査地における個体群が生態的特徴を異にする少なくとも2種からなることを示唆した.これらの結果は,従来の腹部背面の色彩によって両種を識別する方法では不十分であり,特に腹部背面が赤色の個体について,生殖器形態や遺伝子などを比較検討することが必要であることを示す.
交雑試験の結果は,調査した盛岡市下厨川の個体群が腹部背面の色彩にある程度連続的な黄〜赤の変異を示す単一種からなることを示唆した.ところが,誘蛾灯で捕獲された世代ごとの腹部背面の色彩が異なる個体の比率や性比などの特徴は.調査地における個体群が生態的特徴を異にする少なくとも2種からなることを示唆した.これらの結果は,従来の腹部背面の色彩によって両種を識別する方法では不十分であり,特に腹部背面が赤色の個体について,生殖器形態や遺伝子などを比較検討することが必要であることを示す.