日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG01-49] ダイズ循環選抜育種におけるハナバチ2種を利用した効率的な交配法の検討

◯渡邉 智大1、横井 智之1、津田 麻衣1、加賀 秋人2 (1. 筑波大学・生命環境系、2. 農研機構・作物生産部門)

ダイズは様々な加工品の原材料である.近年,ダイズの輸入が不安定となっており,選抜と交配を繰り返して優良遺伝子を集積する循環選抜法を利用した極多収品種を作出可能な育種法の確立が求められている.北海道立総合研究機構ではセイヨウミツバチを使った循環選抜が実施されているが,本州以南の環境条件での知見はない.本研究では本州の育種機関においてダイズの循環交配を実施するため,野外あるいはプラスチックハウス内に設置した網室の中で,ダイズに対するセイヨウミツバチとクロマルハナバチの訪花行動と開花状況等の環境条件との関係を調査した.その結果,両ハナバチ種ともに訪花個体数とダイズの開花数に有意な正の相関がみられた.セイヨウミツバチでは訪花行動と湿度に有意な負の相関がみられた.また全天日射量が高くなると訪花個体数も多くなる傾向にあった.これらの結果から,セイヨウミツバチの訪花行動は周囲の開花数だけでなく湿度などの環境条件にも強く影響され,一方クロマルハナバチでは開花数以外の環境条件の影響は小さいことが示唆された.本発表では,実験を行なったダイズの交雑率についても紹介し,効率的な交配システムについて議論する.なお,本研究はイノベーション創出強化研究推進事業(04007A2)の支援を受けて行った.