日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-100] 海鳥コロニーにおけるダニ類の分布調査およびそれらが保有するウイルス叢解析

◯松村 凌1,2、白井 正樹3、水谷 友一4、小山 偲歩4、武田 航4、屋敷 智咲4、藤岡 珠代5、小林 大介2、山本 誉士6、葛西 真治2、糸山 享1、依田 憲4、伊澤 晴彦2 (1. 明治大院・農、2. 感染研・昆虫医科学、3. 電中研、4. 名古屋大、5. 長岡技科大、6. 麻布大)

ダニ類はウイルスや細菌、原虫といった多様な病原体を媒介する衛生害虫である。このうちダニ媒介性ウイルスには、重症熱性血小板減少症候群ウイルスやダニ媒介性脳炎ウイルスといった公衆衛生上重要なウイルスが数多く含まれる。こうしたダニ媒介性ウイルスの感染リスクを把握するためには、媒介種であるダニ類の分布状況やそれらが保有するウイルスの解析を行うことが重要である。本研究では、ウミネコおよびオオミズナギドリの2種の海鳥を対象に、集団繁殖地のある地域(青森県蕪島、新潟県粟島、東京都利島)においてダニ類の採集を行い、その寄生実態について調査した。また、採集されたダニ類を対象として次世代シークエンサーを用いた網羅的なウイルス叢解析を行った。その結果、利島のオオミズナギドリコロニーでのみフィリップマダニIxodes philipiとサワイカズキダニOrnithodoros sawaiiが採集された。利島におけるこれらダニ類の分布確認は本研究が初となる。また、フィリップマダニの複数プール検体からダニ類に特異的に感染すると思われる種類の新規ウイルス配列を検出した。海鳥寄生性ダニ類の分布や保有ウイルスに関する知見は非常に限られているため、他の繁殖地においても同様の調査を行っていくことが重要である。