日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム1)

2024年3月30日(土) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS02-81] オオカマキリ雄はハラビロカマキリ大東島亜種に誤誘引される

◯綾野 惣施1、大島 千幸2、山崎 和久3、中 秀司1 (1. 鳥取大・農、2. 進化生物学研究所、3. 農工大・農)

カマキリ科の昆虫は、性成熟した雌が特徴的なコーリング姿勢を示して誘引性の性フェロモンを分泌し、雄を誘引することが知られている。ハラビロカマキリHierodula patellifera (以下ハラビロ)は本州以南に広く生息するカマキリ科の昆虫で、国内には名義タイプ亜種ssp. patelliferaのみが生息するとされていたが、Oshima (2021)により大東諸島の本種が大東島亜種ssp. daitoanaとして分離された。大東島亜種と本州に生息する名義タイプ亜種の間に性フェロモンを介した生殖隔離が存在するかを検証するために、ハラビロが多数生息する林道に両亜種の雌を持ち込んで野外雄の行動を観察した。雌がコーリングを行うのに十分な大きさの虫かごをネットで包んで外から雌が視認できないようにし、これを10 mおきに設置したところ、両亜種の雌がともにコーリング姿勢を示した条件下において、大東島亜種の雌が入った虫かごのみに対してオオカマキリTenodera aridifoliaの雄が誘引された。名義タイプ亜種の雌にはオオカマキリ雄が誘引されなかったことから、ハラビロの両亜種は性フェロモンの成分が異なる可能性がある。