日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-94] タイワンエンマコオロギの飼育密度の最適化

◯松山 未奈1、山本 雅信1、鈴木 丈詞1 (1. 東京農工大学)

近年,コオロギは養殖によって安定供給可能な食用昆虫として注目されている.しかし,集団飼育下のコオロギの生存率は,他の食用昆虫種のそれと比較して低く,その原因の一つは共食いである.一般に,飼育密度が高くなるにつれて昆虫種の共食い頻度は増加する.そのため,高密度(数千~数万頭/m3)で飼育するコオロギ生産現場では,共食いが高頻度で発生している可能性がある.本研究では,タイワンエンマコオロギ(Teleogryllus occipitalis)の最適な飼育密度の解明を目的として密度の異なる環境で飼育した(8,600~110,000頭/m3).その結果,密度依存的な生存率の低下が見られた.死因として特に脱皮中の共食いが多く観察され,飼育密度が34,000頭/m3の場合,死因の約60%を占めた.飼育密度が34,000頭/m3以下と比較して,69,000頭/m3では成虫体重は有意に低下し,さらに高密度の110,000頭/m3では羽化までの発育日数は有意に多かった.これらの結果より,最大収量が得られる飼育密度は,約90,000頭/m3であると判明した.他方,飼育密度によって変動する生体アミン(オクトパミンおよびドーパミン)に着目し,密度依存的な生存率および成育の低下との関係性も調査した.