The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Late-Breaking Session » S23. The 2024 Hyuga-nada Earthquake and its Effects

[S23P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S23P-03] Empirical relationship between distance from hypocenter to asperities and earthquake size

*Mitsutaka OHSHIMA1 (1. Ohsaki Corporation)

【はじめに】2024年8月に日向灘地震(M7.1)が発生し、史上初の南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)が発表された。南海トラフの地震等、社会的影響が大きな超巨大地震については、その強震動予測を精度よく行い被害を最小化する必要がある。断層面上のアスペリティの位置は、強震動に大きな影響を与える。強震動予測時の断層モデルにおいて、アスペリティの位置を実際の地震のデータに基づいて経験的に設定できれば、より高精度で現実に即した地震動予測が可能となる。Somerville et al. (1999)やMai et al. (2005)、Manighetti et al. (2005)は、震源から断層面上のすべりが大きな領域までの距離と地震規模の関係を調べた。しかし、Somerville et al. (1999)で用いられた地震の数は15個と少ない。Mai et al. (2005)やManighetti et al. (2005)が断層すべり量から抽出したものは、強震動予測に用いられるSomerville et al. (1999)の定義によるアスペリティではない。また、Mai et al. (2005)は震源からの距離を断層長さで規格化しており、断層長さと地震規模のスケーリング関係が変わる南海トラフ等の超巨大地震には適用できない。2020年から実施の本研究では超巨大地震までを適用範囲として、波形インバージョンによる断層すべり量からSomerville et al. (1999)の定義によりアスペリティを抽出し、震源からアスペリティや断層面上のすべり量最大の領域までの絶対距離と地震モーメントの回帰式を求めた。回帰式は断層メカニズムごとに求めた。 【データ・解析】本研究では、震源からアスペリティまたは最大すべり量を持つ地点までの距離と地震モーメントまでの距離の関係を調べた。Mai and Thingbaijam(2014)によるデータベース(SRCMOD)には、200地震の436個の断層すべりモデルが含まれている。アスペリティは、Somerville et al. (1999)の定義にしたがってSRCMODに収録された各地震のすべりモデルから抽出した。SRCMODの断層すべり分布のデータからアスペリティを抽出し、震源からアスペリティまたはすべり量最大の領域までの距離と地震モーメントの間の回帰式を求めた。アスペリティについては、震源から最も近いアスペリティ、断層面上で最大のアスペリティのそれぞれについて、断層メカニズムごとに回帰式を求めた。 【結果と議論】震源から、最も近いアスペリティ、断層面上で最大のアスペリティ、および断層面上のすべり量最大の領域までの距離は、いずれも地震モーメントの3乗根に比例することがわかった。またモンテカルロ的検証によりこれらの結果が、地震モーメントに応じて大きくなる断層面上に震源がランダムに分布していることによるものではないことが分かった。破壊伝播速度が断層面上で著しく変化しないと仮定すれば、本研究により得られた結果は、破壊が断層面上のすべり量最大の領域に達するまでの時間が地震モーメントの3乗根に比例するというIde and Aochi (2005)による動力学的断層破壊シミュレーションの結果と調和的である。本研究で分析した地震の大部分で核生成相が報告されていないが、震源からアスペリティやすべり量最大の領域までの距離と地震モーメントの間の回帰式は、核生成領域の大きさと地震モーメントの間のスケーリング関係(Shibazaki and Matsu'ura, 1998; Ohnaka, 2000)とかなり近く、震源-アスペリティ間の距離が核生成領域のサイズに比例するように見える。震源-アスペリティ間の距離と地震モーメントの関係を震源機構ごとに調べたところ、震源-アスペリティ間の距離は横ずれ型地震で最大であった。Uenishi and Rice (2003)、Uenishi (2017)によれば、核生成領域のサイズはモード IIで最大となる。震源-アスペリティ間の距離が核生成領域のサイズに比例するならば、本研究の結果はUenishi and Rice (2003) や Uenishi (2017)と調和的であり、興味深い。その他、本研究の結果、震源に最も近いアスペリティの70.5%が断層面上で最大のアスペリティであった。断層面上のすべり量最大の地点が震源に最も近いアスペリティ内、断層面上で最大のアスペリティ内にある割合は、それぞれ73.5%、86.8%であった。 【謝辞】本研究ではSRCMOD(Mai and Thingbaijam, 2014)のデータを使用しました。有益な助言を頂いた岡山大学の竹中教授、気象大学校の永田先生、清水建設の佐藤智美博士に感謝いたします。図の作成にはGeneric Mapping Tools (Wessel et al., 2013)を使用しました。