2018年春の年会

講演情報

一般セッション

IV. 核燃料サイクルと材料 » 405-3 原子力施設の廃止措置技術

[3L06-10] 事故炉の廃止措置技術(デブリ処理,汚染水処理,シビアアクシデント評価)

2018年3月28日(水) 10:50 〜 12:10 L会場 (M1棟 M1-311)

座長:三輪 修一郎 (北大)

10:50 〜 11:05

[3L06] 燃料デブリの圧送回収と保管容器

極低温真空蒸着を応用した燃料デブリの保管方法

*渡壁 牧人1、森重 晴雄1、山敷 庸亮 (1. 福島事故対策検討会)

キーワード:燃料デブリ、保管容器、真空蒸着、福島第一発電所

前回の大会で燃料デブリを常時、臨界対策を行いながら燃料デブリを回収する工法として燃料デブリにコーン状の回収装置を氷で固定し、その回収装置内で高温高圧の水蒸気をダイヤモンド以上の硬さを持つ窒化ホウ素の結晶を混ぜて燃料デブリに噴射し、燃料デブリを粉状に削りとると同時に窒化ホウ素が中性子を回収する工法を提案した。
本稿ではこの工程に続き、保管容器への輸送と保管容器とダスト飛散対策を中心に発表する。削りとられた燃料デブリは回収装置内で粉体輸送できるまで窒化ホウ素の結晶で1mm未満までさらに細かく砕き、そのパウダーとなった燃料デブリをステンレス製のフレキシブルホースを経由し回収装置から格納容器、原子炉建屋横に設置された回収塔内の保管容器に圧送される。
保管容器の外部は液体窒素で冷却されており、輸送気体の水蒸気を液化、凍結させる。輸送気体がなくなると輸送物質である燃料デブリのパウダーは保管容器内で吸着される。所謂、真空蒸着によって燃料デブリは回収される。その回収率は真空度で推定され、この保管容器で燃料デブリは99.999%回収される。その排気は、さらに2段目の保管容器に輸送される。2段目の保管容器も1段目の保管容器も同一の構造を持つ。2段目は液体ヘリウムで保管容器を冷却している。2段目の回収率も到達真空度で推定出来る。99.9999999(ナインナイン)%の回収率は確保できる見通しである。保管容器内に氷が多くなると、フィルターの逆洗と同じように、一旦回収を中止し、冷却を止め、約300℃に加温し、排水を行い、さらに脱水、脱気を行う。この脱水、脱気した物質は格納容器にもどすか汚染処理装置に輸送する。回収と脱水・脱気を繰り返し燃料デブリを回収する。保管容器内に燃料デブリが満たされると、保管容器を保管庫に搬出する。保管容器内の燃料デブリ貯蔵容量は30tを目標としている。
保管容器は現在数多くの実績をもつ使用済み核燃料保管容器を改造する案である。現在の容器は蓋があるが、燃料デブリは配管による粉体輸送を行うことから蓋をなくし配管管台をとつける。蓋に取り付けていたシールもなくなることから、燃料デブリは中性子と熱を発することから保管容器の内部にリング状のフィンを取り付けることである。保管容器は強度、密閉性及び耐久性が大幅向上する。