2018年春の年会

講演情報

一般セッション

IV. 核燃料サイクルと材料 » 405-3 原子力施設の廃止措置技術

[3L06-10] 事故炉の廃止措置技術(デブリ処理,汚染水処理,シビアアクシデント評価)

2018年3月28日(水) 10:50 〜 12:10 L会場 (M1棟 M1-311)

座長:三輪 修一郎 (北大)

11:20 〜 11:35

[3L08] 燃料デブリの冷却メカニズム

調査ビデオからメカニズムを考察

*山敷 庸亮1、森重 晴雄 (1. 京都大学)

キーワード:燃料デブリ、冷却メカニズム

各号機の燃料デブリは毎秒約1リットルの冷却水で冷却されている。3号機において冠水した炉底が2017年7月、水中ロボットによって撮影され、一般に公開された。安定した床部を見ると、粉状の物質が堆積しその上に燃料ペレットと思われる小さな円柱体が落下していた。沸騰している場面では多数の燃料デブリの小片が集まった間から蒸気が沸騰し、小片が時折湧き上がっている。
静的な場所は燃料ペレットが原型を留めて落下していることから、事故後、冷えた後に、原子炉の中で燃料棒から破れ出た燃料ペレットがキレツ部から床に落下したと推定される。したがって静的な場所は原子炉真下と特定される。
一方、動的な場所は沸騰していることから、この場所は燃料デブリが集積した熱源に他ならない。政府事故調査報告によると事故当時、高温で液状になっていた燃料デブリが、原子炉の底を溶かし、ペデスタル床に落ち、床勾配に沿ってサンプ2箇所に落下したとされている。沸騰している場所はサンプの位置と特定される。
サンプに集積した燃料デブリが約40kw自ら発熱している。サンプ上面に接している水だけが燃料デブリを冷却すると燃料デブリの中心部は1000℃超えると試算される。実際はサンプの上面がわずかに沸騰しているのでその付近は100℃程度である。したがって燃料デブリは他にも冷却するルートがあると予測される。
この静的な場所と動的な場所との間には炉心溶融時、2000℃を超える燃料デブリが流れ、床のコンクリートは溶融し水路が形成したと推定される。政府事故報告書では燃料デブリがサンプを約65cm侵食したとしている。水路部分も同程度以上侵食したと想定される。冷却水は静的な床下からこの水路を経てサンプに供給し燃料デブリを冷却していると推定される。さらに冷却水はサンプから水面に沸き起こり、水面を対流し中央の静的な場所に戻り、循環していると推定される。その量は毎秒100cc程度と推定される。実際に供給される量の1/10程度である。この間に燃料デブリは熱的にも動的にも衝撃を受け、少しずつ削られ、やわらかい部分は細かく砕かれ微粒子がサンプから水に流され中央部で流れが緩くなると床面に堆積していることも写真から裏付けられる。