[PF004] 5歳児による絵本の内容理解と下位技能の体制化
類推と誤信念理解の寄与
Keywords:電算画面, 絵本読み聞かせ, 誤信念理解
目的:5歳児に画面上で読み聞かせた絵本の内容理解における表象操作,特に文法理解,類推と誤信念理解等の下位技能の活性化の様相と閲読中の挿入質問の寄与を指摘する。
方法:材料:「あり子のお使い」(石井桃子作、福音館)より,アリのあり子がカマキリに飲み込まれてそのお腹の中で「出してよ バカ」と騒ぐ。これを聞いたムクドリがカマキリにバカと言われたと誤解して怒ってカマキリを飲み込む。カマキリもあり子と同様にムクドリの腹の中で騒いだので,これを聞いたネコが悪口を言われたと誤解してムクドリを飲む.同様にネコが子グマを怒らせては飲み込まれて子グマのお腹の中で騒ぐ。これを聞いたクマのお母さんが怒って子グマの尻を叩いたのでネコが子グマのお腹から飛び出して,クマのお母さんに尻を叩かれてはムクドリを吐き出す。次にムクドリも尻を叩かれてカマキリを吐き出し,カマキリも叩かれてあり子を吐き出し,最後にあり子が経緯を話して全員が仲良く子グマの誕生会に来る筋立ての絵本12画面と挿入質問4画面を男性の声で録音・録画して参加者ペースで読み聞かせた。ここで幼稚園児は個別に自らのペースで視聴,途中で挿入質問に選択反応を入力した.直後に(イ)逐語再認と,内容を推理する推理再認の質問を計8問,逐次画面に提示して選択反応を求めた。(ロ)閲読した絵本とは無関係の人形の絵を用いた4項類推の課題,(ハ)「リンゴの絵を指さす前にバナナを指さして・・」など順序の理解と,「どちらかのウサギと両方のネズミとを指さして・・」と,「トラックがタクシーに牽かれる絵を選んで・・」と統語の理解を求めた選択反応課題(大伴ほか,‘05)及び,(ニ)「サリーが不在の間に彼女のボールをアンが勝手に自分の箱に移したがボールの所在は戻って来たサリーに分るか?」との誤信念課題,(ホ)女の子が留守番中に読書, 郵便が届く,ママの電話と言う長文理解とエピソードの時系列再構成課題の計14画面に選択反応を求めた。 参加者:秋田市内私立幼稚園の5歳児と6歳児12名が個別の画面で参加した(14年3月実験実施)。
結果: 上記の(イ)-(ニ)の変数のクラスタ分析結果が図1,クラスタ凝集経過工程の各段階で変数間の相関係数値を示した結果が表1である。図1からは物語の想起と挿入質問正答比並びに文法のクラスタ,誤信念理解, 反応抑制と類推で構成されたクラスタ並びに長文理解のクラスタ‐とその凝集過程とを想定し得よう。以上の結果は, 上記の誤信念理解,類推と抑制機能は表象の制御に向けたラべリング機能(San Juanなど’12)またはこれらの実行機能を規定する言語としては統語等の言語能力でなくコミュニケーションの言語を重視(Nilsenなど,’09)した先行研究と対応させ得よう。変数の主成分分析結果から,上記の想起と実行機能,そこで操作される表象のラベル付けの有無を組み合わせた4主成分を指摘し得た。
結論:以上と文法と誤信念理解の低得点者は類推の寄与を示す結果(共分散分析)から,年長児による閲読内容の視点理解と表象の符号化を示唆。
方法:材料:「あり子のお使い」(石井桃子作、福音館)より,アリのあり子がカマキリに飲み込まれてそのお腹の中で「出してよ バカ」と騒ぐ。これを聞いたムクドリがカマキリにバカと言われたと誤解して怒ってカマキリを飲み込む。カマキリもあり子と同様にムクドリの腹の中で騒いだので,これを聞いたネコが悪口を言われたと誤解してムクドリを飲む.同様にネコが子グマを怒らせては飲み込まれて子グマのお腹の中で騒ぐ。これを聞いたクマのお母さんが怒って子グマの尻を叩いたのでネコが子グマのお腹から飛び出して,クマのお母さんに尻を叩かれてはムクドリを吐き出す。次にムクドリも尻を叩かれてカマキリを吐き出し,カマキリも叩かれてあり子を吐き出し,最後にあり子が経緯を話して全員が仲良く子グマの誕生会に来る筋立ての絵本12画面と挿入質問4画面を男性の声で録音・録画して参加者ペースで読み聞かせた。ここで幼稚園児は個別に自らのペースで視聴,途中で挿入質問に選択反応を入力した.直後に(イ)逐語再認と,内容を推理する推理再認の質問を計8問,逐次画面に提示して選択反応を求めた。(ロ)閲読した絵本とは無関係の人形の絵を用いた4項類推の課題,(ハ)「リンゴの絵を指さす前にバナナを指さして・・」など順序の理解と,「どちらかのウサギと両方のネズミとを指さして・・」と,「トラックがタクシーに牽かれる絵を選んで・・」と統語の理解を求めた選択反応課題(大伴ほか,‘05)及び,(ニ)「サリーが不在の間に彼女のボールをアンが勝手に自分の箱に移したがボールの所在は戻って来たサリーに分るか?」との誤信念課題,(ホ)女の子が留守番中に読書, 郵便が届く,ママの電話と言う長文理解とエピソードの時系列再構成課題の計14画面に選択反応を求めた。 参加者:秋田市内私立幼稚園の5歳児と6歳児12名が個別の画面で参加した(14年3月実験実施)。
結果: 上記の(イ)-(ニ)の変数のクラスタ分析結果が図1,クラスタ凝集経過工程の各段階で変数間の相関係数値を示した結果が表1である。図1からは物語の想起と挿入質問正答比並びに文法のクラスタ,誤信念理解, 反応抑制と類推で構成されたクラスタ並びに長文理解のクラスタ‐とその凝集過程とを想定し得よう。以上の結果は, 上記の誤信念理解,類推と抑制機能は表象の制御に向けたラべリング機能(San Juanなど’12)またはこれらの実行機能を規定する言語としては統語等の言語能力でなくコミュニケーションの言語を重視(Nilsenなど,’09)した先行研究と対応させ得よう。変数の主成分分析結果から,上記の想起と実行機能,そこで操作される表象のラベル付けの有無を組み合わせた4主成分を指摘し得た。
結論:以上と文法と誤信念理解の低得点者は類推の寄与を示す結果(共分散分析)から,年長児による閲読内容の視点理解と表象の符号化を示唆。