[PG096] 未就学児を育てる共働き夫婦の家庭生活満足度
育児及び配偶者要因による分析
Keywords:家庭生活満足度, 共働き, 未就学児
【目的】台湾では共働きの夫婦が増えつつ、特に若いカップルの共働き率がもっとも高かった。未就学児を育てる家庭では、子どもの世話には大変な心身的負担が伴うと考えられるため、それに家事とフルタイムの仕事の負担が重ねれば、時間的にも体力的にも大変要求されるだろう。そういう意味では、未就学児を育てる共働きの夫婦にとって、配偶者のサポートはとても重要である。家事から考えれば、従来の研究は家事分担の公平感は実際の家事実行より、生活の満足に影響を及ぼすが、未就学児を育てる共働き夫婦にとっては、本当に公平感だけで満足するかは疑問である。それで、本研究は従来の文献を踏まえながら、育児要因、配偶者要因(配偶者の情緒的、及び家事に関する行動的サポート)を加え、未就学児を育てる共働きの夫婦の家庭生活満足度を考えていく。
【方法】本研究は未就学児を育てるフルタイム共働き夫婦を対象として選定し、「台湾社会変遷基本調査」第六期第二次*(2011年7月から2012年4月までの訪問調査により)のデータから123名(父親72名、母親51名)を抽出した。平均年齢は35.92歳(SD=5.31)であった。家庭生活満足度は5件法で尋ね、「非常に満足できる」5点、「満足できる」4点、「どちらも言えない」3点、「満足できない」2点、「非常に満足できない」1点で得点化した。家庭生活満足度に影響を及ぼす要因を「個人要因」、「育児要因」、「配偶者要因」との三要因について、調査を行った。「個人要因」は月給で、「育児要因」は育児経験がポジティブであるか、ネガティブであるかの質問で、「配偶者要因」には、「配偶者からの感謝」、「配偶者の家事担当」の四項目、及び「家事担当公平感」などの六項目が含まれた(表1)。
【結果及び考察】 家庭生活満足度の平均得点は4.05点(SD=.69)、得点が高いほど、満足度がより高い状況を示すとし、全体的には家庭生活に満足できることを示した。月給について、父親群の平均は6.44万元(SD=5.25)で、母親群は3.66万元(SD=1.66)で、有意に異なった(F=13.04, p<.001)。育児感覚について、父親群と母親群は同じくややポジティブな意識(SWEET)をもった(平均値は3.67で、SD=.83)。配偶者からの感謝は1から5点で、得点が高いほど、感謝の割合がより高い状況を示している。配偶者からの感謝は両群の差が見えず、平均値は3.07である(SD=.98)。実際の家事担当は先行文献と一致し、食事の調理(F=70.53, p<.001)、洗濯(F=44.33, p<.001)、及び掃除(F=39.72, p<.001)は母親が有意に多く担当したが、修理(F=67.71, p<.001)は主に父親の担当である。家事担当の公平感については、母親群と父親群には有意な違いは見られなかった(F=2.34, p>.05)。というのは、実際に母親がより多く家事を担当したにもかかわらず、母親群も父親群もそれは公平的であると考え、有意な差がなかった(公平感は1点から5点で、母親群は3.20点で、父親は3.47点である)。
家庭生活満足度を基準変数として、父親群と母親群分け、重回帰分析を行った(表1)。父親群の説明変数は家庭生活満足度の32.9%の説明率が得られたが、母親群の説明変数は家庭生活満足度の32.8%が説明できた。両群には、配偶者からの感謝の説明率は高く、父親群は14.7%で、母親群は24.8%もある。配偶者の家事担当要因の説明率について、父親群は15.3%もあるのに、母親群は8.4%だけであった。
父親群にとって、育児をポジティブに感じるほど、配偶者からの感謝をもらえるほど、それに配偶者の掃除担当が少ないほど、家庭生活満足度が高い結果を示した。母親群にとって、月給の少ないほど、配偶者からの感謝がもらえるほど、それに配偶者の食事調理担当が多いほど、家庭生活満足度が高い結果を示した。
多くの文献により、家事担当の公平感は実際の家事担当状況より効果が顕著であると示唆したが、本研究の結果は異なり、配偶者の家事担当は家庭生活満足感に影響を及ぼすが、公平感の影響は見られなかった。というのは、小さい子どもを持つ親にとって、実際の家事手伝いが必要なので、担当の効果が実際の負担軽減につながった。しかし、実際の家事担当の効果は両群に異なった。母親にとって、配偶者の食事調理担当は満足感を高める。父親群では、配偶者の家事を多く担当すれば、より家庭生活を満足するのではない。かえって、配偶者の掃除担当が少ないほど、家庭生活がより満足する結果が得られた。というのは、小さい子どもを持つ家庭では、家事の負担に加え、子育ての負担もかなり大きいので、子どもの世話は母親がするのは一般的で、働く母親は子どもの世話をしながら、家事も多く担当する場合には、おそらく夫の世話は無理だろう。料理や洗濯に比べ、掃除に即時性がないため、掃除に多くの時間が使えれば、子育てや夫の世話ができなくなるため、夫の家庭生活満足度にマイナスな影響を及ぼすと考えられる。
本研究により、未就学児を育てる働き親にとって、配偶者からの感謝という情緒的サポート、及び家事担当の調整(行動的サポート)も欠かせない結果が示した。
*本研究のデータは台湾?政院国家科学委員会がサポートし、中央研究院社会学研究所が?った「台湾社会変遷基本調査」第六期第二次のもので、作者はデータの提供に心より感謝します。この内容における責任は作者にあります。
【方法】本研究は未就学児を育てるフルタイム共働き夫婦を対象として選定し、「台湾社会変遷基本調査」第六期第二次*(2011年7月から2012年4月までの訪問調査により)のデータから123名(父親72名、母親51名)を抽出した。平均年齢は35.92歳(SD=5.31)であった。家庭生活満足度は5件法で尋ね、「非常に満足できる」5点、「満足できる」4点、「どちらも言えない」3点、「満足できない」2点、「非常に満足できない」1点で得点化した。家庭生活満足度に影響を及ぼす要因を「個人要因」、「育児要因」、「配偶者要因」との三要因について、調査を行った。「個人要因」は月給で、「育児要因」は育児経験がポジティブであるか、ネガティブであるかの質問で、「配偶者要因」には、「配偶者からの感謝」、「配偶者の家事担当」の四項目、及び「家事担当公平感」などの六項目が含まれた(表1)。
【結果及び考察】 家庭生活満足度の平均得点は4.05点(SD=.69)、得点が高いほど、満足度がより高い状況を示すとし、全体的には家庭生活に満足できることを示した。月給について、父親群の平均は6.44万元(SD=5.25)で、母親群は3.66万元(SD=1.66)で、有意に異なった(F=13.04, p<.001)。育児感覚について、父親群と母親群は同じくややポジティブな意識(SWEET)をもった(平均値は3.67で、SD=.83)。配偶者からの感謝は1から5点で、得点が高いほど、感謝の割合がより高い状況を示している。配偶者からの感謝は両群の差が見えず、平均値は3.07である(SD=.98)。実際の家事担当は先行文献と一致し、食事の調理(F=70.53, p<.001)、洗濯(F=44.33, p<.001)、及び掃除(F=39.72, p<.001)は母親が有意に多く担当したが、修理(F=67.71, p<.001)は主に父親の担当である。家事担当の公平感については、母親群と父親群には有意な違いは見られなかった(F=2.34, p>.05)。というのは、実際に母親がより多く家事を担当したにもかかわらず、母親群も父親群もそれは公平的であると考え、有意な差がなかった(公平感は1点から5点で、母親群は3.20点で、父親は3.47点である)。
家庭生活満足度を基準変数として、父親群と母親群分け、重回帰分析を行った(表1)。父親群の説明変数は家庭生活満足度の32.9%の説明率が得られたが、母親群の説明変数は家庭生活満足度の32.8%が説明できた。両群には、配偶者からの感謝の説明率は高く、父親群は14.7%で、母親群は24.8%もある。配偶者の家事担当要因の説明率について、父親群は15.3%もあるのに、母親群は8.4%だけであった。
父親群にとって、育児をポジティブに感じるほど、配偶者からの感謝をもらえるほど、それに配偶者の掃除担当が少ないほど、家庭生活満足度が高い結果を示した。母親群にとって、月給の少ないほど、配偶者からの感謝がもらえるほど、それに配偶者の食事調理担当が多いほど、家庭生活満足度が高い結果を示した。
多くの文献により、家事担当の公平感は実際の家事担当状況より効果が顕著であると示唆したが、本研究の結果は異なり、配偶者の家事担当は家庭生活満足感に影響を及ぼすが、公平感の影響は見られなかった。というのは、小さい子どもを持つ親にとって、実際の家事手伝いが必要なので、担当の効果が実際の負担軽減につながった。しかし、実際の家事担当の効果は両群に異なった。母親にとって、配偶者の食事調理担当は満足感を高める。父親群では、配偶者の家事を多く担当すれば、より家庭生活を満足するのではない。かえって、配偶者の掃除担当が少ないほど、家庭生活がより満足する結果が得られた。というのは、小さい子どもを持つ家庭では、家事の負担に加え、子育ての負担もかなり大きいので、子どもの世話は母親がするのは一般的で、働く母親は子どもの世話をしながら、家事も多く担当する場合には、おそらく夫の世話は無理だろう。料理や洗濯に比べ、掃除に即時性がないため、掃除に多くの時間が使えれば、子育てや夫の世話ができなくなるため、夫の家庭生活満足度にマイナスな影響を及ぼすと考えられる。
本研究により、未就学児を育てる働き親にとって、配偶者からの感謝という情緒的サポート、及び家事担当の調整(行動的サポート)も欠かせない結果が示した。
*本研究のデータは台湾?政院国家科学委員会がサポートし、中央研究院社会学研究所が?った「台湾社会変遷基本調査」第六期第二次のもので、作者はデータの提供に心より感謝します。この内容における責任は作者にあります。