The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(501)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PH084] 職業訓練校における自己PR支援プログラムの効果

森本哲介1, 高橋誠2 (1.明星大学, 2.東京学芸大学大学院)

Keywords:自己PR, ストレングス, 心理学的介入

問題と目的
リーマンショック以降,就職内的率の低い状態が続き(厚生労働省,2010),リクルーターの7人に1人がうつ状態という指摘があるように(河村,2011),リクルーターにとって身体的にも心理的にも負担が大きい状態となっている。
さて,企業がリクルーターを選考する時,最も重要視しているのが面接試験であり(経済同友会,1999),就職活動の中心は面接試験にある。リクルーターは面接者に対して自分の望む印象を抱かせるべく,いわゆる自己PRをする必要がある。しかし,我が国では自己PRなど自らの長所をアピールすることに対する強い抵抗感や苦手意識が指摘されており,リクルーターにとっても特に負担が大きい部分であると考えられる。自己PRに関する知見の多くはこれまでキャリアカウンセリングの領域で扱われてきたが,自己PRへの不安感と,その改善に特化したプログラムについては検討されていない。本研究では,近年ポジティブ心理学の領域で注目されている自己の「強み(strengths)」を活用する介入を取り入れ,自己PRにおける能力の向上や不安感の軽減を目指した新たな支援プログラムを開発し,効果の検討を試みることとした。
方法
調査時期 2013年10月
参加協力者 首都圏の職業訓練校の学生23名(男性20名,女性3名)を対象者とした。平均年齢は19.3歳(SD=1.3)。
測定尺度 自己PR尺度(森本・高橋,2013)および対人不安尺度(諸井,1997)を使用した。
プログラム
介入プログラムは,従来のキャリア支援セミナーならびに, Seligman, Steen, Park,& Peterson(2005)の強みの活用に関する知見を参考に作成された。自己PR支援プログラムとして2週間かけて以下の内容を実施した。
1週目 1.自己PRの構造,2.SCTワーク,3.自己紹介ワーク,4.コンプリメントワーク,5.強み(strengths)の紹介とフィードバック,6.ホームワーク課題の説明。
2週目 7.ホームワークの確認,8.長所エピソードの作成,9.リフレーミングワーク,10.短所エピソード作成,11.面接ロールプレイ,12.まとめ。
結果
各変数についてpre-post時点間で対応のあるt検定を実施した。自己PR尺度については両因子ともにpre時点からpost時点において有意に上昇した。一方,対人不安尺度についてはすべての因子においてpre時点からpost時点において得点に有意な変化はみられなかった(Table1)。
考察
自己PRに関する両因子の得点は有意に増加している。一方,自己表現の多いグループワークや面接のロールプレイを頻回に行う本介入プログラムにおいて懸念された対人不安の悪化については,本研究では有意な変化はみられず,本プログラムに一定の効果と有用性が示されたといえる。
(Yoshiyuki MORIMOTO・Makoto TAKAHASHI)