日本教育心理学会第57回総会

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ポスター発表

ポスター発表 PA

2015年8月26日(水) 10:00 〜 12:00 メインホールA (2階)

[PA069] 大規模コホートデータによる乳幼児発達と母親要因の検討(1)

フォロー結果とその後の運動発達指標との関連

難波久美子1, 河合優年2 (1.武庫川女子大学, 2.武庫川女子大学)

キーワード:コホート, 乳幼児期, KIDS

武庫川女子大学子ども発達科学研究センターと兵庫県西宮市との研究協力で2008年にスタートした,10か月児に対する任意の「乳児後期アンケート(翌年より10か月児アンケート健診,2012年度まで)」とその後のフォロー事業に関して,発達支援,母親支援を中心に報告してきた(田村ら(2008)など)。その後,対象児が1歳6か月,3歳の健診の対象年齢になった際に実施された任意のアンケート調査は,3年度分継続された。
この10か月児に対するフォローの取り組みでは,運動領域において,単に発達が遅いというだけでなく,定型発達の順を辿っているか,飛ばしたり,早すぎたりはないか,という視点を導入した。そこで,本報告では,10か月フォロー事業結果とその後のKIDS(運動領域)との関連について検討することを目的とする。
方 法
10か月アンケートとフォロー事業:2008年度は任意の乳児後期アンケート,2009年度からは10か月アンケート健診が市下の全対象児に郵送された。結果をもとに,発達面の遅れ,養育者のストレスなどを基準としてフォロー対象者を抽出し,フォロー事業案内が送付された。フォロー事業への参加は任意であった。フォロー事業参加者は,助言のみとフォロー群に分けられた。1歳6か月児・3歳児アンケート:1歳6か月児・3歳児健診に合わせて実施された。健診前に郵送され,健診会場に持参,回収された。アンケート内容:身体発達状況,KIDS,育児ストレス等。
結果と考察
対象者は,(a)異常なし,(b)相談会不参加,(c)相談会参加,(d)フォローの4群に分けられた。各時点における群内のKIDSの運動領域項目の通過率を表に示した。この結果,(d)はその後も他群より通過率が低かった。また,(b)は,10か月で独歩の通過率が高く,このことが相談会不参加につながっていると思われた。ただし,後の1歳6か月,3歳では(a) (c)よりも低い通過率の項目もあり,必ずしも運動発達が良い,とは評価できない。以上より,運動発達が遅いだけでなく,早く進んでいるように見える児に対しても慎重に判断する必要があるといえよう。
引用文献
田村和代・岡崎綾乃・浦岡由紀・柳田美紗・松田有香・塚本聡子・真浦則代・小田照美・水上健治・薗潤・河合優年・難波久美子(2008) 西宮市における乳児後期発達支援の取り組み-乳児後期アンケートとすくすく相談会について- ひょうごの公衆衛生,24,30-31.