日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PC

2015年8月26日(水) 16:00 〜 18:00 メインホールA (2階)

[PC024] 看護学臨地実習が学習意欲に及ぼす影響

藤田和加子1, 石井あゆみ2, 徳珍温子3 (1.大阪信愛女学院短期大学, 2.大阪信愛女学院短期大学, 3.大阪信愛女学院短期大学)

キーワード:看護学臨地実習, 学習意欲

【目 的】
看護学臨地実習(以下,実習とする)での経験は,学生の看護への関心を高め,その中で教員の関わりは学習意欲に左右される。
実習を体験した学生に「実習で一番楽しかったこと・一番辛かったこと」について記述してもらい,今後の実習指導の教育的支援の示唆を得ることを目的とした。
【方 法】
〈対象者〉A短期大学3回生実習が全て終了し同意が得られた20人の学生
〈調査方法〉平成26年12月に同意が得られた研究参加者に対し,実習で一番楽しかったこと」「実習で一番辛かったこと」について自由記述してもらい,内容を質的帰納方法により分析した。1)場面の意味を損なわないように整理しコードを作成した。2)コードを解釈し,類似性のあるものでまとまりを作りサブカテゴリを命名した。3)コードからサブカテゴリ,カテゴリと抽象化を進めた。4)データ収集,分析過程において,信頼性を高めるために指導者の助言を得つつ評議を繰り返した。
〈倫理的配慮〉研究参加は対象者の自由意思に基づくものであり,随時同意撤回が可能であること,その場合でも何ら不利益を被ることはないこと,個人情報は個人が特定されないように守秘し,研究及び学会発表以外の目的では使用しないこと,研究終了後は全ての情報を破棄することを口頭と書面にて説明した。
【結 果】
「臨地実習で一番楽しかったこと」について,質問調査紙でとらえた総コード32を抽出した。結果の分析により【感謝された】【達成感を感じた】【認められた】【グループが上手くいった】【患者さんとの関わり】の6つのカテゴリが抽出された。(表1)
「臨地実習で一番辛かったこと」について質問調査紙でとらえた総コード35を抽出した。結果の分析により【眠れなかった】【記録がわからない】【学習不足】【自己管理ができなかった】【インシデントを起こした】【コミュニケーションが上手くいかなかった】【援助が上手くできたかわからなかった】の7つのカテゴリが抽出された(表2)
【考 察】
「看護学実習で一番楽しかった」ことでは,【感謝された】【達成感を感じた】【認められた】など,自分自身の看護実践の成功体験から感じていることが多く,それらが学習意欲の向上に繋がると考える。
「看護学実習で一番辛かったこと」では実習記録やコミュニケーションに関するカテゴリが挙げられた。机上の学習とは違い,実習で患者の看護過程を展開していくことは容易なことではなく,記録時間を多く費やすため睡眠不足となっている。コミュニケーション能力低下が懸念されているため,実習までに記録方法を充分指導しておくことやコミュニケーション能力を向上させる学習が要だと考える。その他【インシデントを起こした】のカテゴリがみられるが,インシデントは誰もが起こすものであり,リスクマネジメントや安全教育について再認識させておくことが重要であると考える。