[PE026] 教員・保育者をめざす大学生の人間関係に関する意識
支援者としての学びを通して
キーワード:大学生, 人間関係, 調査
目的 教員・保育者をめざす大学生は,家庭や地域への子育て支援に取り組むことが求められる(1)。そのため,さまざまな心の問題を抱えた子どもや保護者への支援に資するような,相手との関わりを意識した人間関係形成の力量を高める必要がある。筆者らは,教員・保育者養成段階でコミュニケーション能力を育てる学生同士の関わりの必要性を示してきた(2)。
本研究は,学生の人間関係に関する意識を以下の
方法によって,授業前後で調査し変化を検討する。
方法
調査対象者
201X年度大学2年生,4クラス136名。Team
Teachingによる2クラスリピート授業。
調査時期
臨床心理学の後期授業第1回と第14回。
座席指定:指定座席方式
①授業開始前に指定された座席に着く(全14回)。
②毎回異なる学生と隣の席に座る。
授業での学び
支援者としての心理臨床の基礎。
エクササイズ
毎回指定された異なる学生同士で,授業開始時に挨拶と指定テーマで自己紹介をする。授業後半に,構成的グループエンカウンターやグループワークトレーニング等による交流を行う。
ミニレポート
理論編とエクササイズ編について。
質問紙調査 「人間関係」について質問紙(4選択肢)調査をする。事前に「友人関係場面における目標志向性尺度(3)を援用し,予備調査を経て10項目に改訂し,第1回と第14回の授業で調査。
結果と考察:データ分析では,授業前後の調査項目の未記入等を欠損値として削除し,前後共に統計可能な人数とした。①全くそう思わない,②あまりそう思わない,③少しそう思う,④とてもそう思うの4選択肢と①②否定群と③④肯定群の合計を授業前後で集計し表1に示した。問9・10は反転項目である。①②③④の4項でχ2検定において有意差の見られた項目を表2に示した。残差分析の結果,問3「自分とは異なった考えを持つ人の話を聞いてみたいと思います」と,問8「自分と異なる考えを持つ人と意見をたたかわせることは,良い経験になると思います」では,「④とてもそう思う」が授業後で有意に増加しており,問7「異なる考えを持つ人と話し合うことで,自分を成長させていきたいと思います」では,「②あまりそう思わない」が授業後に有意に減少していた。
授業前後の「①②否定群」と「③④肯定群」についてのχ2検定(両側)結果を表3に示した。問2「相手からどう思われるかを気にしないで積極的に話しかけてみようと思います」(p<.05),問4「自分とは異なった考えを持つ人と話をしてみたいと思います」(p<.001),問8(p<.05)で14回の授業後に有意差をもって肯定群が多くなっている。問7は有意傾向であった。
これらのことから,毎回異なる学生と隣に座り,心理臨床の講義とそれに関連するエクササイズで交流することによって,問2,3,4,7,8の意識変容を得ることが出来たと考える。
課題:講義における交流やエクササイズを通じて,人と関わる意識の低い学生の生活や交友関係に留意して,支援することが必要と考える。
参考:(1)保育所保育指針解説書(2008)フレーベル社pp.245-246 (2)小嶋・河内(2012)日本保育学会第65回大会発表要旨集p511 (3)心理測定尺度集Ⅳ(2007)友人関係場面における目標志向性尺度(黒田・桜井)サイエンス社pp.211-216
本研究は,学生の人間関係に関する意識を以下の
方法によって,授業前後で調査し変化を検討する。
方法
調査対象者
201X年度大学2年生,4クラス136名。Team
Teachingによる2クラスリピート授業。
調査時期
臨床心理学の後期授業第1回と第14回。
座席指定:指定座席方式
①授業開始前に指定された座席に着く(全14回)。
②毎回異なる学生と隣の席に座る。
授業での学び
支援者としての心理臨床の基礎。
エクササイズ
毎回指定された異なる学生同士で,授業開始時に挨拶と指定テーマで自己紹介をする。授業後半に,構成的グループエンカウンターやグループワークトレーニング等による交流を行う。
ミニレポート
理論編とエクササイズ編について。
質問紙調査 「人間関係」について質問紙(4選択肢)調査をする。事前に「友人関係場面における目標志向性尺度(3)を援用し,予備調査を経て10項目に改訂し,第1回と第14回の授業で調査。
結果と考察:データ分析では,授業前後の調査項目の未記入等を欠損値として削除し,前後共に統計可能な人数とした。①全くそう思わない,②あまりそう思わない,③少しそう思う,④とてもそう思うの4選択肢と①②否定群と③④肯定群の合計を授業前後で集計し表1に示した。問9・10は反転項目である。①②③④の4項でχ2検定において有意差の見られた項目を表2に示した。残差分析の結果,問3「自分とは異なった考えを持つ人の話を聞いてみたいと思います」と,問8「自分と異なる考えを持つ人と意見をたたかわせることは,良い経験になると思います」では,「④とてもそう思う」が授業後で有意に増加しており,問7「異なる考えを持つ人と話し合うことで,自分を成長させていきたいと思います」では,「②あまりそう思わない」が授業後に有意に減少していた。
授業前後の「①②否定群」と「③④肯定群」についてのχ2検定(両側)結果を表3に示した。問2「相手からどう思われるかを気にしないで積極的に話しかけてみようと思います」(p<.05),問4「自分とは異なった考えを持つ人と話をしてみたいと思います」(p<.001),問8(p<.05)で14回の授業後に有意差をもって肯定群が多くなっている。問7は有意傾向であった。
これらのことから,毎回異なる学生と隣に座り,心理臨床の講義とそれに関連するエクササイズで交流することによって,問2,3,4,7,8の意識変容を得ることが出来たと考える。
課題:講義における交流やエクササイズを通じて,人と関わる意識の低い学生の生活や交友関係に留意して,支援することが必要と考える。
参考:(1)保育所保育指針解説書(2008)フレーベル社pp.245-246 (2)小嶋・河内(2012)日本保育学会第65回大会発表要旨集p511 (3)心理測定尺度集Ⅳ(2007)友人関係場面における目標志向性尺度(黒田・桜井)サイエンス社pp.211-216